あるものがないと得てして人間は混乱し、そして錯乱状態の中でとんでもない行動に出る。
そして、その結果何が得られるかというと、そう。ナニだ。


こんなシリーズ書きたくねぇよwwwwなSS『佳奈多的健康法』


 朝。
それは誰にでも平等にやってくる時間。
日ごろの激務で疲れきっている私の上にも昇る太陽が憎らしい。
もう少し、あと少し、寝かせてくれと駄々をこねてみるけど、私は仮にも風紀委員長。
その要職にある私が怠慢を働く訳にはいかないし、それでは下に示しが付かない。
「…ふぅ…」
偏頭痛。もちろんその種は分かっている。
「葉留佳、またやってくれたから…」
昨日も昨日で私の双子の愚妹、葉留佳が校内でイタズラをしたのだ。
それもあろう事か委員会室にマキビシトラップなる画鋲の山を築いてくれていた。
「なにがイッツァ・ジャパニーズ・ニンジャガール!よ…」
第一忍者が日本以外にいたことなんて聞いたことがない。いたとしても忍者に憧れる外人だろう。
日本にも本当の忍者がいたかなんて分からないし、いたとしても分身とか隠れ身とかは使えないだろう。
そんな身体能力のある人間なら一言言いたい。もっと別のことに心血注げ、と。
「さて、起きましょうか…」
下らない話はこの辺にして起きよう。ヒトリゴトは身体に良くないし、私の性分に合わない。
こうしているうちに葉留佳がまた何かをやらかしちゃってくれていたら、シメる必要があるわけだし。
「…」
しかし、ベッドを出てまず目に入ったものは。
部屋に備え付けの、小さくて白いタンス。家具部が昔作ったものらしく、あーちゃん先輩にお願いして貰ったものだ。
ちょうどお腹の中腹くらいの高さしかないため、小物や下着を主に入れているのだが、そのタンスに異変があった。
『グッドハローアフタヌーンお姉ちゃん ぱんつは全部貰っていきますヨ あなたのニンジャガールことはるちん』
下手な落書き。
舌を出してウインクしている葉留佳のデフォルメされた似顔絵と、そしてマジックで太く大書された文字の中に異変を覚える。
…ぱんつは全部?
…何のことだ?
気になり、タンスを開けてみると。

 ない。
ぱんつがない。
ぱんつ、全滅。
…誰だ、持ち逃げしたのは。
と思って落書きから葉留佳しかいないと気付く。
「葉留佳ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
私の中で怒りが頂点に達し(どこかのバカみたいに有頂天なんて言わないわよ、断じて)、はらわたが煮え繰り返る。
「よくも、やってくれたわね…フフフフ、アハハハハハ!」
いや、誰が壊れていいと。
ともあれ現実は認めたくないが、ないのだ。ぱんつが。
「…」
そして最悪の事態は。
昨夜まで着けていた下着は今洗濯機の中でゴウンゴウンと音を立てている。まさかこんなことになるとは思わなかったので
タイマーで予約をしていたのが仇となった。さらに。
「…今、はいてない…」
そう。
昨日お風呂から出た私は、まだ春先なのにやけに蒸し暑く感じ、下着を着けずワイシャツだけで寝てしまっていた。
ということは。
「実働ぱんつは…ゼロね」
絶望的な状況に陥るに至った。
今思えば昨夜やけに蒸し暑かったのも葉留佳が何かをしたんじゃないかと疑心暗鬼になってみるが、時計は待ってはくれない。
壁掛け時計の指す時間は、午前7時30分。そろそろ学食の朝食メニューが終わる頃だ。このままでは朝食も食べられない。
かといって、あの短いスカートを、ぱんつを穿かない状態で着用し、学食なんかに向かおうものなら。
「男子にバレたら、最悪よ。特に」
リトルバスターズの野郎衆にだけは、バレたくなかった。
かといって、休むわけにはいかないのも事実だ。
今日は定例会議がある。寮生の生活改善会議と、そして風紀委員会の今月度活動目標策定など、会議ラッシュなのだ。
その状況下でもし私が休んでしまったら。副委員長や他の風紀委員たちに勤まるレベルじゃない、というのは自分を買いかぶりすぎ
だと思うけど、少なくとも負担増でいいことなどない。ならどうすれば。
「…体操着があるわね」
幸い我が校の体操着はスパッツだ。下着を着けずにスパッツは少し変態チックな感じがしないでもないが、少なくともその、
の、ノーパンよりは幾分かマシ、だと思う。
そこで同じく体操着を仕舞っている棚を開けてみると。

『スパッツ穿こうったって、そうはいかないのデスヨ? はるちん』

 「葉留佳殺す、マジ殺すっ!絶対殺すッ!」
って相坂さんっ!私のキャラじゃないこと言わせないで下さい!
…取り乱したわね、相坂って誰かしら。
とりあえず、犯人が分かった上に、しかもこの始末。どうやら和解したとはいえタダで終わらせていい問題ではないようだ。
「…」
と、今すぐ着替えて葉留佳をシメに行きたいところだが、このままではただの痴女扱いが関の山。
「…教室」
そう。もし教室までたどり着けたなら、代えのスパッツがあるはず。先週体育が雨でなくなり、保健の授業に変わったため、
運良く体操服は袖を通さないまま袋の中に入っているはず。もしそれを葉留佳がどうにかしていなければ。
もう、その可能性に賭けるしかないのだ。
その気になれば、クドリャフカや来ヶ谷さんから借りられないこともない。
だが今彼女達はリトルバスターズの術中だ。特に来ヶ谷さんは回避したかった。
「何されるか目に見えてるじゃない」
今更、自ら虎穴に飛び込もうとする真似はしない。そう決めて、とりあえずまず着替えることにした。
…ブラまでないとは。
もっとも、ブラがなくてもとりあえず上着で隠せるから上半身は問題ない。問題は下半身だ。
…股間がスースーする。風通しがいいのは夏ならば喜ばしいことだが、冬は避けたかった。
お腹を冷やすのはよくないし、ね。


 「あ、二木さん、おはよう」
「えぇ、おはよう」
途中の廊下ですれ違う知り合いに会釈をしながら歩く。不審に思われないためだ。
まだ女子寮の中だから問題ないが、これで安心していては…。
「やぁ、佳奈多さん。今日のコンビニ占いはズバリ、ファミマだね」
「…」
と、一番合いたくない奴に出会ってしまった。
直枝理樹。
しかも今日もわけが分からない。一説には頭を打ってこうなったらしいが。
「…あなた、ここ女子寮よ?」
「うん知ってるよ。でも占い結果をどうしても教えたくて、UBラインを強行突破してきたんだ」
「…」
もういい、死ね。楽になれ。
そう言ってやりたい。それも心の奥底から。
というより第一コンビニ占いとは何だ、と疑問に思っていると彼から勝手に口を開いてくれた。
「コンビニ占いってのはね、おにぎりの美味しいコンビニからアトランダムに選ばれたお店に行くといいことがあるんだ的な占いなんだ」
「つまり適当ってことね。 バカのあなたらしいわ」
「うん。バカじゃないけど嬉しいよ、何となく」
だから何だと。
とりあえずどけてもらおうと歩くが、まったく通す素振りもなく、まるで軟体動物のように身体をくねらせて近寄ってくる。
「ねぇねぇ佳奈多さん、どこに行くの?」
「…遅刻するでしょ」
「うん。でも、ファミマなんだよ?」
「…」
頭痛い。
周りの女子も『まぁ、直枝くんなら…』『直枝くん、相当溜まってたのね…』『血管プッツンね…ご愁傷様、直枝くん』と好き勝手言い放題。
それにいちいち『ありがとう、みんな、そしておめでとう、僕』と、まるで某少年よ神話になれ的なアニメの最終回を髣髴とさせる展開を
女子寮長たる私の許可なくおっぱじめていた。
しかしこんな男にノーパンである現状を気付かれるのは相当に滑稽であり、避けたい事態。
なんとしても、弾き飛ばしても、先に進むしかないようだ。

<Mission 1 直枝理樹を撃破せよ!>

 「直枝。私急いでるんだけど」
とりあえず先に進むためには、今急いでいる旨を伝えるしかないだろう。それが一番手っ取り早い。
「ファミマは待ってくれないよ?」
むしろファミマのほうが待ってくれるわよ。そう簡単に潰れないでしょ。
「直枝。遅刻したらあなたを委員会室で叱らなきゃいけなくなるわ」
「うん。痛くしないならいいよ」
ペンチで爪剥がしてやろうかしら。
「フル☆ボッコされたいのかしら?」
「うん。フルボッコされてやんよ」
よく分からない展開になってきた。このままではミッション失敗だわ…。
「直枝、ちょっとお手洗いに行きたいの。通してくれないかしら」
「恥じらいながら言ったら100点満点だったのに。うん。罰として僕が飲んであげるよ。あ、大きいほう?」
何もかもが相当末期らしい。
お手洗い作戦失敗。次。
「そうそう、直枝。今度セブンイレブンでスイーツフェアするみたいよ」
スイーツ(笑)
「えっ、それは嘘だね。だってスイーツ(笑)フェアは先々週終わってるから」
っち。というよりそこまで詳しいのはなぜ?
「でもファミマでもするんじゃないの?ほら、早く行かないと」
「やっと分かってくれたんだね、佳奈多さん。じゃ今から学校を抜け出そう!」
「誰があなたなんかと!」
「愛は校門を越えるんだよ!」
「どういう理屈よ!てか愛ってなによ!」
「僕たちだよ!」
「ワケわかんないんだけど!?」
よく分からないけどスイーツフェア作戦失敗。次。
「直枝、いい加減にしないと警察呼ぶわよ?」
「うん。呼ばれてもいい。だから僕とファミマに行って!」
なによコイツ。一人でトイレに行けないガキみたいね。
「それは出来ないわ。私は委員会の仕事がいっぱい残っているのよ」
「委員会と僕、どっちが大事なの?」
「だからどういう理屈よ!」
「僕たちだよ!」
「だからワケわかんないってば!」
もうダメだ、何もかもが末期だ。
そして思わず踵落とし…って!
「む、ムッハー!」
「し、しまったっ!」
ノーパンなの忘れてた…。

<Mission Failed!!!>

 なぜパンチしなかったのか分からない。
なぜ平手打ちじゃなかったのか分からない。
よりにもよって踵落とし…。そうだ、昨夜夢の中でアン●ィ・●グ(故人)が踵落としでスイカ割りする夢を見たんだった。
スイカが爆散する姿、人の頭みたいでドキドキしたわ。
「佳奈多さん、ノーパン健康法ぐはぁ」
「死ねっ!」
因みに今自室。もう学校にいく元気もなくなった。
適当にテーブルにお菓子を広げる。そして何故か直枝を接待している状況が気に食わない。
しかし幸運だったのは、直枝とのケンカを観戦していた生徒達が一人、また一人と減り、踵落としの場面では
ゼロだったことだ。だからその、ち、恥部を見られたのは直枝だけ、ってわけで…。
だからこそ余計に腹が立つ!腹いせ紛れにお茶を思いっきりこぼしてやる。
「熱いっ!熱くて、まるでっ、夏っ!」
あぁ、もうダメだ。病院逃げて。
「とりあえず落ち着きなさい。ほら、水」
バシャッ。
氷水をぶっかけてやる。
「アヒャァッ!こ、これはッ!こ、コールドッ!」
分かったから死んで。
「SOUッ!イッツァ夏ッ!これはサマーッ!」
いろいろ末期です。精神病院今すぐこいつを踏み潰して。
って、ナニ脱ぎだしてるのよ直枝っ!
直枝は突然制服をキャストオフして、そして全裸に。
「これで枷はなくなったよ佳奈多さんッ!さぁ、もっとお茶ぶっかけちまいなよ、YOU!」
先生、ここに似非ジ●ニーさんがいます。
「ぱんつが何だッ!大事なのは、愛ッ!愛ッ!愛ィィィィッ!」
迫撃砲弾が21発降ってきても絶対死なないと保証できます、この人。
ともあれ直枝は全裸。あぁ、ゾウさんだけは立派ね…ってなに静観しているのよ。私も末期じゃない。
「…」
とりあえず程よい鈍器でもないか、と部屋中を見渡すが、あるのは湯呑みと急須くらいだ。で、こんなので死ぬ直枝ではない。
「さぁ、佳奈多さんっ!僕に全てをっ!そして繋がったままファミマへげふぅッ!」
とりあえずゾウさんを蹴り上げておいた。
直後。
何か熱くてヌメッとした液体が靴下に掛かった。
こ、これって、な、直枝の…せ、セイセイセイフォーゥ!
…どこ行ったのかしら、レイザー●モンHG。
…じゃなくて。
「な、おえ…まさか…」
「くぅっ、け、蹴られてイッちゃうなんて、き、きっとコレは…新境地!悟りを開いたッ!」
ちょっとは痛がれよ。そして死ね。
「しかしッ!駄菓子菓子ッ!」
だがしかし、って言いたいみたいだけど、イントネーションぐちゃぐちゃのgdgdよ。
「僕の熱い子種は全てッ!佳奈多さんを妊娠させるためにィ!」
イヤよ。コンビニと交尾でもしてなさい。
「さぁっ、佳奈多さんも脚を開いてッ!」
「…」
お茶を全速力で彼のゾウさんにぶっかけると、ようやく黙った。そう、5時間くらい。


 「で、結局なんでノーパンだったの?」
直枝がようやく目を覚まし本題に入ってくれた。あぁ、靴下が臭い…。
「えぇ、それがね…って何であなたに話す必要があるのよ」
「それは、佳奈多さんの毛も生え揃っていない(自主規制)を偶然にもぐはぁッ!」
気にしてるんだから!じゃなくて。
「確かに見られた以上は話すか殺すかしかないでしょうね」
「うん。だから僕のモノは切り取って末永く保管してね。寂しくなったら使ってね」
死ねばいいのに。
というより、肉体から完全に隔離された海綿体はそのまま硬さを失って…って何の話よ。
「まぁいいわ。あなたには関係ない。忘れなさい」
「ヤダ。可愛かったから、忘れられない」
「っ!」
な、なんなのこの男!キラーパス過ぎるわ!
「忘れられないよ、佳奈多さん…」
「え、ちょ…」
直枝がどんどん近づいてきます。もうコレダメ。
「もう我慢できないよ。ありがとう、ア●ディ、そして頑張れ、ニッポン。WBC間もなく開幕」
「だからなんでそうなるのよっ!」
「がんばれ、僕の精子くん。頑張って泳いで佳奈多さんの卵子にくっついてね」
「散れっ!いねっ!」
もうノーパンなの忘れて何度も何度も顔面にキック入れるけど、ちっとも効いていない。
煩悩のなせる業ね…もう、これは…。
「一人目は理樹と佳奈多だからりかちゃんにしようね。あ、何か着せ替え人形みたいだね。あはは」
まだOK出してないし、アンタのために産む子どもなんていないわ!
あぁっ、な、なんて立派なゾウさん…じゃなくて、なんて醜いの!?
「出来ちゃったらファミマ貸切で結婚式だよ。スイーツにダイビングさ。もちろん全裸で」
「絶対イヤーッ!!!!」


散る花、一輪。
純潔、一回。


 「ぐすっ…直枝に、汚された…」
「あ、あちゃ〜。やはは、まぁ、こういうこともあるのですヨ」
想像を絶するバカ直枝の陵辱で、私はすっかり。
「目覚めちゃったじゃない…」
「え?」
「…なんでもないわ」
「うん」
いちいち想像して赤面する葉留佳を横目に、そのままフローリングにダイレクトで触れる恥部が、心地よい。
直枝に散々ぶちまけられた直枝汁(仮)がさっきまで男を知らなかった穴から流れ出る頃、思った。
-----ファミマも、いいかも。

じゃなくて。

----ノーパンも、いいかも。愛されるなら。
(なんか釈然としないけど、終わる)


 あとがき。


ご   め   ん   な   さ   い   orz

もうコレしか言えない。言いたくない。
なんかよく分からないんだけど、プレ作品ってことで、佳奈多のノーパンドタバタコメディ書いてみました。
というより、理樹君が狙いすぎています。もうこのバカをさっさと獄門にしてあげてください。

さてさて。
次回があるのなら、ということで次回の嘘予告。

『ついに、何かに目覚めた佳奈多。しかしそんな彼女に関係なく進攻する最強のゾウさんが、次の惨劇を生むのだった。
 次回、『ぱんつのカタチ、ヒトのカタチ』。』


次回もこの勢いで、サービスサービスぅ♪相坂でした。
(もう6連勤目でいろいろヤバいです。察してくださいorz)

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