時々、思うんだ。
していいことと悪いことがあるように、手に入れていいものと、悪いものもあるんだって。
ほら、今日はそれが僕の掌の中に。


突発的おバカSS『理樹君は大変なぱんつを盗んでいきました』

 僕は今、手の中にある物を見ながら絶望していた。
きっと、ここに糸色 望 先生がいたら漏れなく首を吊っているくらいの危険に、武者震いする。
…これって、身震いっていうか、少なくとも武者震いじゃないよね。
さて、その手の中のものは。
「…持って来ちゃった」
来ヶ谷さんの、ぱんつだ。

 ことの起こりは3時間くらい前になるだろうか。
「理樹君。今すぐ私の部屋に来い」
「突発的だね」
「そんなことはどうでもいい。さっさと来い。さもなくば死」
それだけ言って電話を切った来ヶ谷さんを不審に思いながらも、ホントに殺されてはかなわないので、
寮の部屋で宿題を片付けていた僕は仕方なく椅子から重い腰を上げた。
直後に真人が筋トレを終えて帰ってきたけど、行き先は告げずに出ることにする。
…来ヶ谷さん絡みだと、すぐ敵愾心を燃やすから、真人は。
困ったアグレッシブぶりだ。そういう情熱を勉強に回せば成績アップ間違いないのに、あえてそれを
しない辺りに真人らしさがあるんだろう、と僕は思うのだ。
…真人がガリ勉(死語)になったら、それはそれでイヤだ。
どれくらいイヤかというと、きれいなジャ○アンを目の当たりにしたの○太くん並みに絶望するに違いない。
そんなことはどうでもよくて。
とりあえず来ヶ谷さんの部屋を目指す。女子寮の一階にある部屋は、UBラインで事情さえ説明すればすぐそこだ。
「そう、それなら仕方ないわね」
ちょうど女子寮は寮長と各学年の代表者での寮生生活改善会議が行われているらしく、さらに休日だけあって、
掃除や洗濯で忙しく動き回るものや、宿題をするもの、外出しているもので静かなのか騒がしいのか分からない状況だった。
大体休日は大半の生徒が外出したり、近くのものは実家に帰ったりする。そのため案外警備が手薄になっているように見えて、
意外とUBラインの防衛が強化されていたりするのだ。
これが女の連帯感なのか。困るね、先生、とても。
と某日本が誇るロックバンドの真似をしてみたくなる衝動を抑えながら、来ヶ谷さんの部屋に赴く。ノックをすると、すぐに
返事が返ってきた。
「理樹君か?」
「うん、僕」
「新手の理樹理樹詐欺じゃないだろうな?」
「どんな詐欺だよ…」
たまに来ヶ谷さんの言うことが分からなくなるが、それも魅力なのだろうと割り切れる自分も大概怖い。
さて、そんなことを放っておいて、とりあえず僕は来ヶ谷さんの部屋のドアを開ける。
「…」
天国だった。
いや、正確に言うと、天国にいけるぐらいの衝撃を受けた。
パンイチだ。
つまり、来ヶ谷さんがシャワーを浴びてさっぱりした身体をぱんつという神秘の布でカバーし、そして上半身は
タオブラ(タオルで胸を隠す行為。もう死語だよきっと)でガードするという、ある種男の夢を見事にやってのけていた。
リボンを外し、まったく手をつけていない髪はとても艶やかで、また彼女のイメージどおりの黒い、レースたくさんのぱんつは
男の征服欲をイヤでも増幅させてくれた。ここは天国だった。むしろ、神々の領域だ。
僕は思わず、天国のさらに先、主の玉座に向けて走り出していた。
「ゆいこちゅわ〜んっ♪」
某大怪盗の孫のムッツリスケベ張りの大ジャンプ。そして垂直落下。見たか、これぞ本当のル○ンダイブだ!
「極刑に処す」
「ぎにゃぁぁぁぁぁっ!」
次の瞬間、カウンターブロークンを食らった僕は、宙を舞っていた。さらば青春の日々。


 「で、だ。呼んだのは他でもない」
「以前に同じ事例がなかったはずなんだけど」
「ええいうるさい黙れこのショタ顔ルパ○が」
「えぇっ!?」
顔を真っ赤に腫らして抗議の声をあげる僕を軽く一蹴するあたり、さすが女王様だね。
そんな僕は先ほどまで
本当に目や鼻や口がどこにあるか分からないくらいのボコされ方だった。
今ようやく目が6割ほど開くようになったけど、まだ痛い。失明しなかっただけでも幸運だ。
さて、そんな僕を呼びつけたこのおねーさんは一体何を言い出すのだろうか。
「私はこれからとある任務のため部屋を空ける」
「へぇ。リトルバスターズ絡み?」
当然、知る権利はある。どんな任務だろうか。恭介指示なのだろうか。
だが答えはあっさりしていた。
「キミは詮索せずに大人しくしていればいいさ。まぁそんなことで理樹君、留守番を頼む」
「へ?」
「留守番だ、留守番」
えーと。
店番とかじゃなくて?あ、それはジャイ○ンの実家か。
「キミはどこまでド○えもんにとりつかれてるんだ…」
「多分前世は不○子先生だと思うんだ」
「キミは怖いもの知らずだな…実に度し難い」
でも留守番だけしていればいいのだろうか。
「てか何で留守番?」
「うん、それはだな」
「うんうん」
「何となくだ」
「え、ちょ」
何となくで僕に留守番させるの!?
ってかここ女子寮だよ?僕下手すると過ちを犯す消されるかもしれないよ!?
そんなツッコミを意に介さず、来ヶ谷さんは部屋を出て行った。
去り際。
「あぁ、ブラとかぱんつは一番上の棚だ。イタズラに使う分にはいいが、ちゃんと洗ってくれたら嬉しい」
「アンタって人はぁっ!」
あれ、なんか違うキャラになったのは気のせいかな。うん。


 ということで留守番を始める。
最初の10分くらいはやはり異性の部屋だから、緊張感と好奇心がいっぱいだった。
自然と漂ってくる、来ヶ谷さんの匂い。使ってるシャンプーの香りだろうか。
そしてその中に漂う、紅茶の匂い。コーヒーメーカーが置いてある。最近のは紅茶も淹れられるらしいからなぁ。
僕も欲しくなって、紅茶を淹れてみようと水を準備し(水は冷蔵庫の中に入っていた)、茶葉を探す。
「…」
冷蔵庫の中にはなかった。臭いが移るからだろうか。
タンスには入っていないはずだし、ティーキャニスターを格納できるいい感じの場所も見当たらない。
どこにあるのだろうか。と、ベッドの下が気になる。
…ほら、男の子だってシャイな男のファンタジーゾーンはベッド下と相場が決まってるじゃないか。
…え、違うの?
少なくとも相坂さんの幼なじみ氏は堂々と放置していても両親がおおらかだったらしく何も言われなかったらしいけどね。
(※実話です。ちなみにそのせいで変態物書き、故 桐原 楓が生まれたワケです)
ほら、来ヶ谷さんって男より強いし、きっと男の遺伝子が…。
さらりと聞かれたら肉片残らず吹き飛ばされそうな危険発言をしている僕って、きっと将来大物になれる気がする。
失礼して、ベッドの下に手を伸ばす。きっと箱か何かがあるに違いない。
紅茶の茶葉って湿気とか嫌うから、涼しい場所に保管すると踏んだのだ。
が、想像とは違った。
スカスカだ。何もない。身体ごと手を伸ばすけど何も見つからない。
こんなとき、バル○ィエルみたいに手が伸びて遠くからでも相手の首が絞められるくらいの特技があればなぁ、って
思う。僕普通の少年って称号のままだし。ここぞとばかりに特殊能力を発揮したい。
…手に何かが触れた。
「!」
それは、木箱や陶器のキャニスターとは違う、明らかに異質の、強いて言えば布。
「…」
とりあえずそれを引っ張り出してみる。どうせ靴下か服とかタオルってオチだし。
「…!」
手にしたもの、それは。


 そして現在の時間軸に戻る。
「…」
まんまと来ヶ谷さんの未洗濯のぱんつを持ってきてしまったわけサHAHAHA!
…相坂さん、お願いだから僕のキャラ壊さないで。
…というわけでぱんつだ。
あの後、布を広げて未洗濯と確認した直後、来ヶ谷さんが帰ってきたので、一瞬でそれをポケットに格納。
振り返ったら何故か来ヶ谷さんが
血まみれで立っていた。いや、来ヶ谷さんの血じゃない。返り血だ。
間違いなく
誰かをヴッ☆コロしてきたあとだろう。誰かと聞きたくなって、聞いたあと証拠隠滅で消されても
面白くないので、おおかたそんな役は真人か謙吾か杉並さんあたりだろうと酌んで、そのままスルーした。
「いやぁ、いい気分だ。おねーさん今なら理樹君の無茶苦茶な性的要求でも笑顔で聞いてあげられそうな気がするよ」
性的って、セクシャル限定ですか。
まぁそれはそれで悪い気がしないのですが言った瞬間『極刑に処す』ってのが見えた気がしたので、とりあえず…。
ん、待てよ。僕は思いつく。
そうだ、このまま…。
「そ、それなら、さ」
「うむ。却下だ」
「なぜっ!?」
来ヶ谷さん、さっきなんでも聞くって…。
「いきなり後ろの穴はダメだぞ理樹君。ハッテンの兄貴と違って女の子はデリケートなんだ」
「いやいやいや…」
やめてよ、僕と恭介のカラミ同人誌@西園さん謹製を思い出すじゃないか!
あのとき、本気で恭介にされたいって…思ってないからねっ!?
じゃなくて。
「このまま僕を速やかに釈放して欲しいんだ」
「釈放なんて人聞き悪いな。無論そのつもりだ。コーヒーメーカーを勝手に使ったくらいで怒ったりはしないよ」
おおかた紅茶葉が見つからなくて泣いていたんだろう?と半分当たりのことを言ってきた。
良かった、デルタ布(仮)の一件は気付いていないようだ。
「あ、そうだった。ぱんつは使ったか?」
「ぶっ!」
「…慌てることもあるまい。冗談だし、使っても理樹君なら問題ないさ。
甘いマスクの変態と呼んでやるまでだからな」
今その冗談は心臓に悪いし、そんな称号貰うくらいなら普通の少年がよっぽどマシだよ…。
かくして、特に来ヶ谷さんにばれることもなく、ぱんつを持ち帰った僕は。

 …どうやって返すかを考えていた。
来ヶ谷さんなら案外普通に受け取ってくれて、しかも冗談を交えて僕をからかうはずだ。
だけど、問題はその後だ。来ヶ谷さんは口は堅いほうだし、何も言わないと思うけど、もしも葉留佳さんあたりに
ばれてしまえばさあ大変。僕の評価は地に落ちると思う。
…いや、むしろ学校にいれるか心配になってきた。
それに、返し方も問題だ。デリカシーのない返し方をすれば流石の来ヶ谷さんも怒るか、最悪このデリナシーがっ!と
言われてあの強烈なムーンサルトをくらって、地面とお友達になるか、本気で土に還ってしまうだろう。
「…」
でも、こんなのを隠していたところで真人にバレても面白くない。
幸い今真人はいない。なぜだろう、胸騒ぎがしないでもないけど。
「…」
でも、静かな部屋でぱんつを拡げ、まじまじと見つめると、案外色々浮かんでくる。
男のパンツにはない、独特の生地の柔らかさ、そしてそれでいて芸術的とも言える装飾がされている。
男の下着が急所を守るだけの目的なら、女物は恥部を守りながら、異性を誘惑する力があるのだろう。
ましてあの特盛クラスの来ヶ谷さんのプロポーションだ。将来の彼氏や旦那さんなら…。
枯れるまで、吸われるんだろうな。
「…あっ」
そこで、僕はとんでもないものを見つけた。
…当然未洗濯の下着なのだから、いろんなものが付いている。
その中で、来ヶ谷さんのその、え、えっと…。
と、とにかく、大切なところを守っていた布の部分に、明らかに異質の物体を見つけたのだ。
「…」
嗅いでみたい。その衝動をかみ殺そうとするが、出来ない。
このままこの布に鼻を埋めて、そして素敵な香りに身を委ねたい。
もう、我慢できなかった。鼻が、近づく。


 「ふむ。そうして私の下着でハァハァした挙句、どうするつもりだったのかね、理樹君?」
「っ!」
背後に気配を感じ振り返ったときには遅かった。
見られた。しかも、今からってところを。
「理樹君の挙動があまりにヘンだったから、頭でも打ったのかと心配してきてみれば…取り越し苦労も甚だしいな」
顔には出ていないが、明らかに侮蔑の意思が込められた言葉で僕を一蹴する。
「まぁ未洗濯のものをそのままにしていた私も悪いが…ここまで救えない変態だったら」
多少、荒療治が必要なようだ。
来ヶ谷さんは不敵な笑みを浮かべると、僕に一歩、また一歩と近づいてくる。
怖い、殺されるよりも怖いことをされるに違いない。
なのに身体が動かない。なぜ。
そして、来ヶ谷さんは最後の一歩で僕の手から下着を奪うと。
「…」
「ふごぉっ!」
それを、そのまま僕の鼻に力いっぱい押し当てる。
「どうだ、こうして匂いを嗅いで、ハァハァしたかったんだろう?」
「むぐぅっ、むぐぅっ!」
逃げようとしても、逃げられない。
なのに、逃げたくない。
いつまでもこの、何となく懐かしい香りに包まれていたい。
僕の顔は、きっといま途轍もなくだらしなくなっていることだろう。
そして来ヶ谷さんはその手を離す。僕を突き放すかのように。
「変態には変態解毒の薬が必要だな。もうぱんつなんてどうでもよくなる薬が」
「…ふぇ?」
まだ状況が読み込めていない僕の目の前で、来ヶ谷さんはその短いスカートの中に両手を入れ…。
(続く?)


 あとがき。

さて、間もなく開設から3ヶ月を迎えようとしているEpicurean。現在まだ2ヵ月半ですが・・・。


なんと、現在までに3万人以上の方にご来場いただいています!(わーい

 こんなヘタレで大してエロくもない物書きの作品を読みに来ていただいて、まことに感謝感激です。
感涙に咽び泣く瞬間ってところかな。だけど、貰ってばかりじゃ悪いので。

ついに、姉御エクスタシーを書こうと思います!
ただ、普通に書いても面白くない。どうせなら濃厚エロを書いてUPしたい。
ってことで、今回のミッションは…結果はご存知の通りです。まぁ、次回もこんな機会があるといいね。相坂でした。

来る11/16(あと3日)までに、WEB拍手にて『姉御エクスタシー希望!』を300通送る!
一日100通の計算なわけですよ。300通なのは3万ヒットになぞらえて。
もちろん、300越えていたら、その回数ごとにエロさが増していく仕様です。

ちなみに11/16は『其れ、愛ゆえに』で真人を凍らせたヒロイン、秀島さんのモチーフになった
相坂の親友が第一子を出産しやがった日です。(しやがったって…;
その後集計を経て作成後UPします。さぁ、戦いはもう始まってるZO!
相坂でした。

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