暗い部屋。
糞尿が撒き散らされ、体液が壁や窓に飛び、穴という穴から液体を垂れ流した『豚』が、そこにはいた。
「りきさまぁ…おくしゅり、おくしゅりくだしゃい…」
『薬』を求める牝豚が足元にまとわり付く。それに蹴りをくれてやり、のた打ち回るのを嘲笑しながら見る。
「ごふっ、ふごぉっ…り、きさ…ま…」
鼻血を流しながらも、また足元にまとわりつくその鬱陶しさにもう耐えかねて、尻肉にガラスの管を刺す。
俗に注射器と呼ばれる、それを。
「ひゃぁぁぁぁぁ…っ♪」
嬉しそうな悲鳴と、嬉し涙。
気高い女が下種な豚に成り下がる過程は、現実社会では精々トランプの大富豪程度でしか見れない。
だが目の前にそのシーンがある。滑稽だ。実に滑稽だ。
注射器を刺された瞬間は鼓膜が破れそうな悲鳴を上げたが、たちまちそれが弛緩した声に変わる。
そして、注射が終わる頃、尿道や肛門まで弛緩したのか、ブププププッ、と放屁の音が静かな部屋にやけに響き、
熱く、やけどしそうなくらいの湯気をたてて、尿が『彼女』の股間から漏れ始める。
もはや、人間としての尊厳をなくした、言うなれば肉人形から。
二木佳奈多、それが彼女の名前『だった』。


 悪臭漂う部屋は、修復が終わったばかりの旧館にある。
ここも例に漏れず事故のショックから立ち直れなかった少女が自主退学し、残された部屋だ。
当分使う人間も居ないため、一人部屋の希望があった場合に、という予定だったが。
一人部屋を、志願するものがいた。佳奈多だ。
件の事故で恭介を亡くし、その部分遺体を見せ付けられて以来、すっかり精神を病んでしまい、
時折精神異常者のように甲高い悲鳴を上げるクド…能美クドリャフカとの生活に疲れ、また生徒会の激務に追われ、
そろそろ潮時と思っていた彼女の。
そしてその部屋は理樹と小毬、佐奈が奇妙な同棲生活をしている部屋のすぐ隣。
佳奈多はあくまでも生徒会風紀委員長としての職務を忘れないでいた。
かならずこの不穏当な人間達の尻尾を掴み、そして。
『最悪の場合は退学に追い込むつもりよ。事故の被害者?そんなもの、免罪符になり得るわけないじゃない』
彼女は生前、周囲にそう漏らしていた。
生前、いや。厳密には佳奈多は死んでいない。死亡届など出されてはいないから。
『存在』が、死んでいるのだ。
もう、自我を捨て、家畜に成り下がった、二木佳奈多と呼ばれた肉体なら、いるが。
ともあれ、佳奈多は一人部屋になってから行動を開始する。
行動といっても、壁に聞き耳を立て、そして彼らがセックスを始めた瞬間に、踏み込む。そんな原始的な作戦。
とはいえ、成功すれば相当な成果になる、そんなはずだった。
『理樹さまぁっ!赤ちゃん、赤ちゃんが入ってきますぅっ!』
敬愛していた女子寮長の変貌した声。
理樹の子どもを求め、健気に腰を振る彼女の声に戦う気力を奪われた。
というより、度肝を抜かれた感があった。
セックスとは無縁の、忙しい日々を送っていると思っていた先輩が、今はセックスの虜。
言われてみればこのところ生徒会室にも現れない日が多かったし、いたとしてもいつも心ここに在らず、という顔。
時折顔を紅くしたまま部屋に飛び込んできて、艶やかな声で居合わせた男子達に劣情を催させていたものだ。
その原因が思わぬところにあったことに、何より気付けなかった自分のふがいなさに苛立つ。
しかしいらだちもつかの間、もう一つの黄色い声に反応する。
『ふぁぁぁぁっ…出来ちゃう、理樹さまの赤ちゃん、お腹に宿っちゃうっ!』
一際甲高い声。普段の間抜けな声からは想像も付かない淫靡な言葉の数々。
『…神北さんまで…』
小毬まで理樹のモノの虜になり、自らねだって腰を振るようになっていた。
ショックは拭いきれない。
一見経験豊富そうに見えてその実男を知らず、割に強がってクールぶって見せる佳奈多にとって、絶対そんなもの
知りえるはずが無い、知ったとしてもまさか直枝理樹となんて、という事実は、ドラム缶の中に投げ込まれて散々バットで
缶を叩かれるくらいのショックと頭痛を覚えさせた。
『…』
なおも聞こえる黄色い声。もっと種付けしてくれ、だの、元気な赤ちゃんを孕みたい、だの。
生理的嫌悪感から吐き気を催し、トイレに飛び込む。そして夕食のメニューは消化できないうちに吐瀉してしまった。
そのときは彼女も思わなかっただろう。
まさか、自分が彼女達のような腰振り人形、いや人形どころかその更に下、家畜の扱いを受けるなんて。


 ある日佳奈多はついに一大決心をした。
部屋に飛び込み、彼らの淫行の現場を写真に収める。
そしてそれを教職員に提出し、同時に教育委員会にも流して、不穏因子の彼らを学園から抹殺しよう、と。
そのために生徒会からスペシャリストを何名か選出して潜入することにしたが、条件的に男子は不可能だった。
女子寮ゆえ、男子は立ち入りの瞬間おおごとになる。出来るなら、速やかに、かつ的確に動く必要にとらわれた彼女は、
信頼できる風紀の女子2名を同伴し、突撃することにした。
片方は女子剣道部、もう片方は一応体育会系ではあるが、チア部。体力的にも問題なく、何かあればすぐに助けてくれるはず。

 そう信じたのが、仇となった。
突入予定時刻の午後8時を過ぎても、彼女らが現れなかったのだ。
チア部の女子はそうでもないが、片方の剣道部の女子は時間に厳しく、そしてどことなく自分に心酔していると知っていた
佳奈多にとって、まさかこんなに遅れることは…。
やむなく、後ほど合流するだろうと思い隣の自室のドアを開けた瞬間。
彼女は、後頭部を何かに殴打され、そのまま、意識を失った。


 「んはぁ…ひゃぁん!」
「乳首ぃ、乳首ちゃんもっと吸ってくださぁぃ…☆」
クチュクチュ、パンパンッ。
粘膜がこすれあい、肉と肉がぶつかり合う音が響き、彼女は目を覚ました。
目の前は、桃色の地獄だった。
「あら、かなちゃん、お目覚め?」
「…っ!」
目の前には、誰よりも尊敬していた女子寮長の佐奈。ただ違うのは、双方の乳首に錘つきのピアス。
ヴァギナとアナルにバイブをくわえ込み、悶えながら自分の『種付け』の順番を待っていた。
そして、今種付けされているのは。
「ふぁぁっ!赤ちゃん、理樹さまの赤ちゃんっ!スケベなママでごめんねぇっ」
チア部の女子…ともに突入を誓った同志のはずなのに。
もう片方の剣道部の女子もすぐに見つかった。その隣で、理樹のイチモツのサオを見ながらうっとりしている姿が。
「直枝様…っ、これまでみた、どんな銘刀よりも…勇ましく、逞しい…っ」
着けている白のパンティが、ここから見ても分かるくらいの、相当な濡れ様になっている。
その状況が読めなくて、口を震わせていると。
「かなちゃん、私たちを舐めすぎていたようね」
「へ…」
我ながら間抜けな声で答えた相手は、佐奈だった。
「同じ生徒会だもの。すぐにネタを掴むわよ。特にチア部のさっちゃんは私に通じてるんだから」
「っ!?」
驚愕の事実だった。チア部の少女…香山さつきは、既に佐奈の、そして理樹の手中にあったなんて。
滑稽すぎる。ともに行動するはずの女が、まさか敵のスパイだったなんて。
つまり、全ての情報は最初から理樹にダダ漏れだったわけだ。これでは対処のしようがない。
ただ、少しばかりうらやましかった。そんな行動を取れるだけの人材、人脈をいつの間にか作り上げていた彼が。
佐奈は、黒い笑みで解説を始める。
「この子は理樹様のおチンポを受け入れさせるのに時間かかったわ。遊んでる顔してかなりアソコが小さな処女だったもの」
その子が今じゃコレだもんね…嘲笑しながら、早く終わりなさいと檄を飛ばしている。
刹那、さつきも『はぁい☆理樹様おちんぽ最高っ!』とまったく早く終わらせるそぶりも無く、ただ理樹のモノを愉しむために
日ごろ部活で鍛えた柔軟性のある肉体を武器に散々動き回っていた。
「今では見ての通りのチンポ狂い。一日5回は中出ししてあげないと大泣きするのよ。イカレた甘えんぼさんだから」
「…」
さつきもまた、両親を早くに亡くしている。そこがきっと理樹と通じ合ったのだろう。
そして理樹もまた、心にあるのか無いのか『素敵なママになってねっ』といいながら腰をぶつけている。
「そんな…」
さらに、驚きの真実。
「そのさっちゃんに催淫剤を渡して、ジュースにでも混ぜさせて飲ませれば、そこのひなちゃんも一撃でチンポ奴隷」
剣道部の女子…牧島比奈子もたちまち理樹のチンポ奴隷と化してしまったらしい。
「この後生でロストバージンの儀式を見せてあげるから、もう暫く大人しくしてなさいな」
「…っ離しなさいっ!あなたなんかもう尊敬するべき人間でもないわ!薄汚れた雌豚っ!」
素直に、その感情を吐露する。尊敬の念なんて最早ここにはない。
置かれた立場を考えない言葉が次々に出てくる。もう、椅子に頑丈な皮製の拘束具で両手足と首を固定されていることも、
正直どうでも良かった。佐奈が目を覚ましてくれることが無いのであれば、せめて、今言えることを。
だが佐奈は怒るでもなく、かと言って許すわけでもなく。近くによって、佳奈多のあごを指でクイッと持ち上げる。
「な、何」
「かなちゃん、私は確かに汚れたかもしれない。でもね、それ以上に」
理樹様の赤ちゃんを産める、理樹様の伴侶として生きられるのが嬉しいの。
言葉の重みに反比例して、股から散々マン汁を垂れ流す下品な女は、最後にこう付け加えた。


『憧れは理解から最も遠い感情よ』
「っ!」
これまで抱いてきた、同性としての尊敬の念。
仕事が出来る女というところ以外に、誰にでも公平で優しいという評価。
それらが全て否定される。もう、ここには憧れだった佐奈はいないのだ、と痛感する言葉。日本刀のような切れ味の、鋭い言葉。
自分は何一つ、何一つ佐奈を理解できていなかったのか、知った振りをしていただけなのか。
頭が混乱する中、ついに理樹が本日5回目の射精を終える。
「ふぁぁぁっぁっ…☆あかひゃん…あかひゃんれきひゃぅ…えっちぃママになっひゃぅ…」
もう呂律が回らないくらい頭までマンコになってしまった可哀想な牝奴隷。その『玩具』への興味が薄れたのか、
次は比奈子に迫る…かと思われた。
しかし、彼の足が向いたのは…。


 「こういう拷問プレイ、初めてでしょ?」
「ひぎぃっ!」
口にはギャグボール…猿轡のようなおもちゃを嵌められ、意思の疎通もできない。当然服などない。全裸だ。
そして、目隠しでもはや盲人と化してしまった彼女の耳に、当てられたヘッドホン。
そこからは『聞かせれば一発で女を淫乱にするCD』の、艶かしい音が流れてくる。
勿論理樹自身、オークションで手に入れたこれをただ実験してみたいだけ。佳奈多はちょうどいいモルモットだったわけだ。
「小毬さんも佐奈さんもさつきさんも、淫乱すぎてもう意味ないしね。実験にはちょうどいいよ」
そして視覚と聴覚を奪われた状態で、奴隷の先輩である小毬がしたこと、それは。
乳首にピアス。それも宝石が付いた綺麗なヤツだ。もちろんそれが本物かは分からない。
「これでもう、理樹さま以外の男の子には身体見せられないね〜。見せても幻滅」
「っ」
授乳のための大切な器官、女の象徴の先っぽは神経が集中していて、穴を開けるだけでも相当な痛みがある。
激痛に耐えられるだけの精神力はあったが、その後の小毬の言葉は、彼女の大切にしてきた自尊心をあっさり砕くだけの、
そうした破壊力を確かに持ち合わせていた。
まるでナチス親衛隊のような、徹底的に執拗な、急所を外した拷問はまだ続く。
次は理樹が直接尋問を行う。乳首のピアスを弄びながら。
「ぐほぉっ」
まだ慣れていないから、痛みが酷く、目隠しの下の双眸は白目を剥きかかる。
意に介さず、理樹は冷徹に拷問を行う。
「ねぇ、誰の指示?僕を追い詰めて退学にしようって、誰が言い出したの?」
「…」
誰が言い出したわけではない。教師達がそれを憂いていたのは事実だし、自分自身でも気に食わなかった。
だから、いっそ尻尾を掴んでやろう。つまり言い出しっぺは自分なのだ。
だからこそ恐れた。それを正直に言って、殺されやしないかと。
悪名名高いナチ武装親衛隊の野戦憲兵の如く、相手を徹底的に嬲るその行動。逆らえば後は無い。
現に、理樹は何かを振るう。風を切る鋭い音の、何かを。
バシィッ!
脚を、何かで叩かれた。まるで肉が裂けるんじゃないか、と思うくらいの痛み。堪らず佳奈多も声を上げる。
「おぼぉっ!」
「ほら素直に言わないからだよ」
その風切り音と激痛。間違いなくムチか何かの類だろう。
そしてそれで打たれて身体を無意識に浮かせたから、宝石という錘の付いた乳首ピアスが揺れ、胸にも激痛が来る。
まるで考え抜かれたかのような、悪質で陰気な拷問だ。
「ギャグボール外してあげるから、教えてよ。男ならどうするか分からないけど、女の子なら奴隷で許してあげる」
「…」
そんなことを言えるような強い男ではなかった。少なくとも彼女の知る理樹は。
それが、恐ろしいくらいの周到な下準備と、それに伴う拷問を行っている。
痺れを切らした理樹が、ムチのようなものの柄で、佳奈多の下腹部を殴打する。
「んぐぅっ!」
「僕の声、聞こえてる?これは命令なんだよ?」
とそこで彼もヘッドホンが頭についていることに気付く。
「あぁ、コレが悪いんだね」
それをムチの柄で外してやると、効果を確かめるため、佳奈多の陰部に手を伸ばす。
まだ誰も侵略したことのない、宝石の谷に。
「んぅっ」
「クリトリス、凄いおっきしてる。これ効果があったってことなのかな?それとも単に」
二木さんが、淫乱なだけかな?」
耳元で囁かれる言葉に身を捩って反論する。私は淫乱じゃない、そこのバカ女たちと一緒にするな!と。
それは、彼女の最後の抵抗だったのかもしれない。自分を卑しい身分に落としたくないという、彼女なりの。
「そう。小毬さん」
「はいっ」
「クリトリスにも、してあげて」
「はぁい♪」
大体予想は付いていた。だけど、足まで固定されているから抵抗できなかった。
金属質の何かが、女性器の一部に当てられる。そして、貫かれる痛み。
陰核に、穿たれる穴、奴隷の証。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
そのまま彼女は、本格的に白目になり、そのまま暫く気を失った。


 ムチの痛みと、クリトリスを壊された想像を絶する過酷。もう女として生きることを否定された彼女も、
何か温かいものが口の中に注がれるときに目を覚ました。
…理樹の、尿だ。
「やっと目を覚ましたね、肉便器」
「んぐぐぐぐっ」
もはや人間でもないらしい。そのまま放尿を終えた理樹は、ギャグボールと目隠しを外してやる。
「んごほっ、うげぇぇっ…」
飲んでしまった尿を、溜まった唾液と一緒に吐き出そうとするが、出るのは唾液だけ。そのまま止まる。
「二木さん、もう痛みも消えたよね?」
「ふぇ…?」
そこで、さっき自分の陰部と乳首が串刺しにされ、ピアスを付けられた、ということを思い出す。
たちまちじわじわと痛みが来るが、強がって見せる。
「い、痛くなんてないわよ!っ」
しかし言葉は続かない。脚以外にもいろんなところに蚯蚓腫れが出来ていて、痛みがじわじわと襲ってくる。
「ムチで散々叩いても起きなかったからね、凄いよねっ。まるで女スパイだったよ」
無邪気に同意を求める瞳のその奥の、黒い何か。
殺されそうな黒い空気を纏う理樹に抵抗する力が残っていない。あまりに痛すぎて。
まだぼやけた視界で周囲を見渡すと、理樹の両隣にそれぞれ付き添う小毬と佐奈。
そして向こうには、比奈子の股間を舐めるさつき。多少見えにくいが、どうやら比奈子は破瓜したらしい。
その純潔の証が内股に見て取れる。それを綺麗に掃除してやっているようだ。
「理樹様」
「ん、なに、佐奈さん?」
そんな彼に、佐奈が何かを持ちかける。
「…」
小声で耳打ちをしている佐奈に不安を覚えると、理樹は彼女に歩み寄る。
「ねぇ佳奈多さん。僕は、佳奈多さんと仲良くしたいんだよ」
「誰が、あなたなんかと仲良くするのよ。あなたみたいな、人を人と思わなぐぼぉっ!」
腹に、鉄拳。
直後に夕飯の消化できていない分を吐き出す。
「口の利き方に気をつけなよ。立場は守らなきゃ」
「人を人と思わない人間が、何をっ!」
小毬や佐奈を壊し、挙句に信頼を置いていた女子2名を平気で性奴に落とした理樹への、せめてもの抵抗。
それでも理樹は顔色一つ変えず、微笑みながら近寄る。
「な、なによ」
「…それじゃ、これをあげるよ」
そうして彼が近くにあった木箱を取り、そこから何かを手にする。
注射器。普通の人間は病院以外の場所で見ることが無いはず。それを手にしているのなら。
「佐奈さん、もう一度ギャグボールを。あと、出来たら目隠しもしてあげて」
「かしこまりました…でも目隠しも?」
その質問に、不敵な笑みの理樹。
「ん、チクッってするところ、見たくないはずだし」
刺すのは間違いが無いらしい。その中身なんて、誰も、推し量れない。
すると理樹はそれが当たり前のように、普通に答えてくれた。注射器の中身を、軽くピュピュッと出しながら。
「これさえあれば、気分がハイになって、とても幸せな気持ちが沸いてくるよ」
「…むぐっ!」
「それに、どんな拷問も気持ちよくなるはずだよ。一度ハマったら病み付きだろうね」
それらの言葉に、聞き覚えがあった。
症状からそれが、覚せい剤…麻薬…そういった、少なくとも正常な人間が使うものではない何か、だと察する。
理樹の意図はすぐ読めた。心服しない、普通の手段では心服し得ない彼女を薬漬けにして、奴隷化しようという策略が。
だから抵抗しようとするが、革のバンドは容赦なく抵抗する身体に食い込む。痛くて堪らない。
「すぐ終わるからね?それに」
「…」
直後、残酷で、まるでその言葉だけで佳奈多を殺せそうな悪魔のささやきが耳に飛び込む。
「ここに居る僕の奴隷さんたちを使えば、佳奈多さんの大切なもの簡単に奪えるんだよ?例えば…」
「葉留佳さんとか、きっと一度おまんこ覚えたら、赤ちゃん出来てもバンバン腰振ると思うよ?」
「!!!」
ようやく、打ち解けた妹…たった一人の姉妹が理樹によって壊される。
それは、何よりも苦しい、死刑判決だった。
「葉留佳にだけは手を出さないで、って言いたいみたいだね。分かるよ。でも」
それは、外交交渉次第だよ?
悪魔は、その薬が詰まった注射器を見せながら、彼女に今一度問う。
「この薬を受け入れてくれれば、葉留佳さんには手を出さないよ、とりあえずはね」
「だけど、抵抗するようなら…小毬さん、拉致の準備出来てる?」
「はいっ♪」
悪魔のような笑顔と、小悪魔の微笑。いや、小毬はもう小悪魔じゃない。魔王の手先だ。
その魔王の手先も、微笑みながら答える。
「はるちゃんをかなちゃんの目の前で、理樹さまにたくさん愛してもらおうね〜」
「ぐ」
固定されている首を精一杯横に振って答える。それだけは、と。
「なら、コレ、打っていい?」
「…」
力なく、項垂れる。
それは、隷属の証。そう解釈した理樹によって、注射が刺される。
まずは一本。そして直後に二本目。
「…」
そして、胸の奥がなにか熱くなって、そして。


 今の時間軸に戻る。
「おくしゅりぃ、おくしゅりぃ〜」
注射をされ、最高にハイになっている佳奈多『だった』モノ。
隣の部屋で監禁された生活を送っている彼女を、省みるものはなかった。
世話を任されているさつきと比奈子も、すっかり理樹の奴隷になりさがり、そして。
「理樹さまぁ、もう佳奈多なんて始末しちゃいましょうよ〜。アイツすぐウンチとか漏らすんだもん」
「そうですわ…粗相も多いですし、おくしゅり〜、って以外は言葉を知らないみたいですもの」
二人が交互に美味しそうに彼のペニスをしゃぶりながら、かつて心酔していた佳奈多の悪口をいう。
家畜は生きている価値がないと言いたいようだ。
そんな彼女らの頭を撫でながらなだめる。
「まぁまぁ、アレはアレで使い道はあるよ、きっと。それに」
いざとなったら薬のためとかいってウリでもさせればいいさ。
その『ウリ』の意味が、二人にはそれとなく分かっていた。
そのためか、理樹はいまだに佳奈多の純潔までは奪っていなかった。
「処女は高く売れるからね」
「理樹様ってば中々悪人さんですねっ」
さつきが、理樹のペニスに頬擦りしながら言うと、彼もまんざらではないのか嬉しそうに彼女の顎の下を、
猫を撫でるように擽ってやる。
「ただ強いだけじゃダメなんだ。本当の優しさは、そこにあるんだよ」
「あぁっ、理樹様っ、とても、とても逞しいですっ…」
そんな強い『殿方』に全幅の信頼を寄せている比奈子。その彼女も同様に、彼のペニスに頬擦りする。
「さぁ、どっちから孕みたい?」
その質問に、両方がすぐ答える。早く腹ボテにしてくれ、と。
それなら、と準備をしようと立ち上がると、さつきが聞いてきた。

 「でもアレ、本当に麻薬なんですか?」
「ん?ただの生理食塩水だよ。それも凄く薄めたヤツ」
「…あっさり騙されてるんですね。アイツやっぱりバカでどうしようもない家畜ですよ」
「…そうだね。それゆえに利用価値もありそうだ」
ブラシーボ効果。生真面目な佳奈多らしい症状だ。それを本当の覚せい剤と文字通り『思い込み』、
勝手に廃人となってしまっている。
「これなら、勝手に死なれても薬物反応は出ないしね」
「やっぱり理樹様ってば悪人さんっ。そんな悪人さんの赤ちゃん、いっぱい、産みますね」
そう言いながら、膣に指を2本ねじ込んでクチュクチュと音を立てながら、挿入準備を整えるさつきに理樹が言う。
「楽しみにしてるからね」
アメとムチ。誰もそんな強さなんか求めてもいないのに。

 「おくしゅり〜、おくしゅりぃぃっ…☆」
壊れた豚は、部屋中を這い回り、自らが排泄したものを舐める。
それが、当たり前のように。
(つづく)


 あとがき

…我ながら黒い。そして怖い。
ってことで佳奈多好きさんごめんなさいっ!マジごめんなさいっ!あぁっ石投げないでっ!
生真面目な佳奈多ならブラシーボ効果で何か凄いことになりそう、と思いながら書いていました。
ここの理樹君って、なんか藍染隊長みたいな感じだよね。無数に策をめぐらしておいて隙が無い。
そして、最後には悪魔の笑みを浮かべてくれる人。
こんな理樹くんなら、抱かれてもいいかも。なんて。

 ってことでコレは相当コアな作品のため、気分を害した、などの拍手にはお答えかねます。
というより、この部屋に入ってきている時点でそれに同意されてるんでしょうけどね…。時流でした。

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