懐かしい仲間達に逢いたくなる日。
それは、次第に年老いていくごとに強くなっていくのだろう。
例えば、退屈な日常に、何かを見つけ出せるとして、そのトリガーとなるのが、
実はそんな感情だったりする。
…それだけ私も、成長したのか、それともヤケになって生きているだけなのだろうか。


昔のアルバムを見つけてついつい見ていたらこんな時間だよ曲SS『陽のあたる坂道』 music by Do As Infinity

 季節外れの、少し肌寒い風が、唯湖の部屋のカーテンを揺らす。
吹き込む風は、やがて、机の上の本をパラパラとめくり、そして、そのままどこかへと去っていく。
「…」
外はもう桜のシーズン。この町に来てもう3年目の春を迎える。
卒業後、地元の大学や企業に就職してそれぞれがバラバラになったリトルバスターズ。
誰かがあげた声とともに、一人、また一人とそこを去っていき、最後に残った理樹と交わした約束。

『絶対に-------』
その先を思い出そうとして、面倒になってやめた。
「キミは今、どこの街かな」
きっと遠い町にいて、今は誰かと幸せになっているのだろう。そう信じたい。
カーテンを開け放つと、桜の香りが学生寮にノックもなしに飛び込んでくる。甘い、春の香り。
「手紙くらい、よこせばいいのに」
それと裏腹に、春の空のような、唯湖の心。
みんながみんな、別々の道に進んでから、まともに連絡が取り合えているのは、葉留佳、美魚、
そして今は同じ部屋で暮らす同じ大学の小毬くらいなものだ。
その小毬も今は友達も出来て、今日は気乗りしないが誘われてダブルデート、とのことだ。
「イヤならおねーさんに一生付いてくればいいのに」
冗談交じりにベランダのサボテンに語りかけ、そして馬鹿馬鹿しくてやめる。
「…お前も、いつかそうして私から離れていくのかな?エルヴィン」
エルヴィンとは、このサボテンの名前だ。由来は特にない。ただロンメルと名付けるのが違和感いっぱいだったからだ。
小毬からは「もっと可愛い名前を」と言われたが、唯湖の感性から言えばこれがまだまだ可愛いほうなのだろう。
「タケイチももっと大きくなれ。ん、サボテンに竹は可笑しいな。はっはっは」
そして隣にあるタケイチ…南の島で戦死した著名なメダリストの名前をいただいたサボテンを指でつつく。
トゲトゲが少し痛いが、それも心地よく思えてきた。
「マゾなのかな、私は」
いや違う、Sだ、来ヶ谷のKは鬼畜のKだ、とまたワケの分からないことを言って、ため息。
「…大切なものは、手元に残らない、か」
失くしてから気付く、大切さ。
鬱陶しいと思っていた筋肉バカや剣道バカも、ただ無駄にいじり倒していた妹分たちも、いなくなれば寂しいもの。
宝物だと思えるものは一つずつ、年老いていくごとになくなっていく。分かっていても、悲しい現実。
それに目をそむけるように、彼氏も作らず、人付き合いもそこそこに、かといって講義も出ず、あくまで自分らしく、
自分スタイルでやってきた唯湖も、ここに来て疲れていた。
「エルヴィン、タケイチ、お前達は、ずっと一緒だよな」
「…」
物言わぬサボテンは、花すらも咲かせてくれない。
やがて、春の甘い香りをシャットアウトするように、窓を閉めるのだった。


 「でねー、その男の子が無理矢理チューしようとするから叩いて帰ってきたよ」
「ふむ。即断罪だ。悪即斬だ」
「わーっ、ゆいちゃんそんなことしちゃダメええええ」
冗談に思えない強烈な、悪魔的な目になった唯湖を必死で止めようとする小毬。
どうやらダブルデートは男の一方的なエゴに付き合わされそうになって、たった2時間で帰ってきたらしい。
2時間なら、最寄の映画館まで15分ほど、そしてそれから映画の途中で出てきたというのだから、計算が合う。
…本当に、映画に行ったかなんて、唯湖が干渉できる範囲ではないけど。
「でもすごい雨だね。タケくん、エルくん、大丈夫?」
そして外の天気は大雨。これまた遅れてきた春一番とでも言おうか。
小毬が女子寮に飛び込んだ瞬間、まるでバケツをひっくり返したかのように大粒の雨が空から落ちてきた。
そして雨は容赦なく窓を叩く。元々乾燥地域の植物であるサボテンを雨に晒すのは忍びないと、小毬がベランダから救出した。
そんな彼らをまるで弟か何かを可愛がるように拭いてやる小毬。時折トゲが痛くて「あうっ、あうっ」と声を上げながら。
「おねーさん萌え萌えだぞ」
「ふぇっ!?」
ゾクッと背中に走る悪寒に耐え切れず声を上げる。が、唯湖は相変わらずいつもの笑顔だ。
「…ゆいちゃんってさ」
「だからそのゆいちゃんは…というのも、懐かしい台詞だな」
「…」
唯湖がはぐらかすから、話しそびれる小毬。
「ゆいちゃんってさ、本当は、寂しいんじゃないのかな」
「何がだ」
「よく分からないけど」
「分からないことを平気で口にするのか、勇気あるな、キミは」
寂しい?
そんな感情を植えつけていったリトルバスターズはもうバラバラ。
この空の続く場所にいるかすら怪しい人間だって大勢いるというのに。
「少なくとも寂しくはない。小毬君がいてくれるからな。おねーさん退屈しないよ」
ふにふに、と頬をつっつく。
「う〜っ、恥ずかしざんまいいいぃぃぃ…」
この可愛らしい性格は、これからも変わらないで欲しい。そう願いながら、頬から指を離す。
「ゆいちゃん?」
「…そうだな、私は、寂しいのかもな」

 勇気を持って、理樹の携帯にメールを送ったこともあった。
だけど、そのアドレスはもう誰も使ってない、永遠に失くされたアドレス。
唯湖の寂しさを紛らわせてくれる旧知の親友も、今は忙しくてそれどころではないという。
隔絶された、まるで小毬と自分しかいないんじゃないか、とすら思える悲しい空間、寂しい世界。
「小毬君は、理樹君たちに会えなくなって寂しいと思わないか?」
「…今は、ちょっぴり。前は、すっごく、かな」
人は、こうして大人になっていく。
悲しさや寂しさを一歩ずつ割り切って、自分らしく前を向いて。
歩き出す。無限の可能性を秘めた、新しいセカイへと。
だけど唯湖はそれが出来ない。出来ないというより、する気が起こらない。根っからのマイペースだから。
「でも、理樹くんはいなくなったわけじゃないし、またいつか逢えるのです」
「…いつか、か」
いつかって、いつだ。
その明確な答えが返ってくるより早く、雷が少し薄暗い部屋を明るくする。
「ふぁっ!」
「…」
怖がって抱きついてきた小毬を抱き締める。
抱き締める。
抱き締める。
抱き締める。
むしろそのまま圧死させるつもりだ。
「ぷはぁっ!?こ、殺されるかと思った…」
「はっはっは。おねーさんのおっぱいは愛情いっぱい夢いっぱいの凶器だ」
「ギャグになってないよ〜〜〜〜」
ケラケラといつもの声が響くが、雨はいっこうにやむ気配を見せない。
やがて、すっかり乾いたエルヴィンとタケイチを見つめながら、ふと思い立つ。
「…どうにかして、みんなと連絡を取れないだろうか」
「連絡?」
「あぁ、連絡だ」
ニヤッ。そのイタズラっぽい笑みは、昔の唯湖を十分髣髴とさせる。
「いつか会えるのを待っているのは性に合わなくてな。こちらからキッカケを作ってやるだけさ。これが私スタイルだ」
「…なんかよく分からないけど、わかったのですよ」
そうして、まずは一番連絡の付きそうな人から、少しずつメールを飛ばしていく。


 変わっていくもの。それは、メールアドレス、電話番号、住所、好きなもの、キモチ。
変わらないもの、それは、あの日の友情…だと信じたい。青春(イマ)を駆け抜けた、あの頃の自分。
そんなものも少しずつ増えていくけど、一つ一つが愛しい。
結局苦笑いが続く中、唯湖と小毬の携帯に入っている番号とアドレスは、どれも使われていないか、ヘンな人間が
電話に出たので消して着信拒否した。
「薄情な友情だな」
「みんなどうしてるんだろうね」
相変わらずエルヴィンとタケイチをつっつきながらぽわ〜っとしている小毬と反対に、唯湖は対策を考え続ける。
「いつか、じゃダメなの?」
「ダメだ。今逢いたいんだ。あの日の私の確認として」

『絶対に---------』
理樹が何を言ったか、それを思い出すために、思い出せないなら、直接呼び出して、聞き出すために。
それがどんな約束かは覚えていない。だけど、途方もなく大切な約束だったかもしれない。
思い出したい、あの日の約束。それは、昔大好きだった歌のメロディーを思い出すくらい、簡単そうで難しいこと。
「理樹君が離れたのか、私が離れていったのか、だな」
「卵が先か鶏が先か、って感じだね」
「まったくだな」
「でも、何で理樹君?」
その質問に、一瞬戸惑って。
「さっぱり分からん」
辛うじて返せた答えは、それだけだ。

 と、そこで携帯のイルミネーションが光る。
「…ん。葉留佳君からだな」
「はるちゃん〜」
ちょっと嬉しそうな小毬。今はとある短大に滑り込んだが絶賛留年中の葉留佳からだ。
「やれやれ親不孝娘め。メールをするヒマがあったら一刻も早く卒業できるように勉強しろと」
「ゆいちゃんがメールを送ったからだよ〜」
「…そう言えばそうだな」
思わぬ方向からのツッコミに耐えながらとりあえずメールを開く。

From:葉留佳君
題名:無題

本文:
理樹君とは連絡付かなかったけど、恭介さんとは連絡付いたよ〜。
今の番号は080-××○○-△○×○だって


 道理でつながらなかったワケだ。番号はすっかり変わってしまっていた。
「どうやって恭介氏の番号にたどり着いたか。そこが興味深いところだ…」
「ホントだね…」
はるちゃん、どんなズルしたんだろう。と真剣に悩む小毬。ズルでも何でもないと思うが。
「だがこれでとりあえず糸口は掴めたな。恭介氏なら、理樹君の番号を知っているはずだ」
「…でも、ゆいちゃん」
「何だ」
小毬が、ふと口にする。
「何で必死で理樹君の番号を探すの?それに、はるちゃんが聞き出せなかったってことは…」
「…」
なぜ。
リーダーだから?約束をした人だから?
聞き出せなかった理由。
悲しい話?それとも単に恭介も知らないだけ?


 答えは、とても単純で、とても悲しかった。
『理樹は…死んだよ』
「冗談はよせ。いくらなんでも怒るぞ」
『…怒りてぇのはこっちのほうだよ!』
なぜ、恭介が怒鳴るか、それはイマイチ分からないけど。
『飛行機が山ん中に落っこちて、遺品と僅かな骨しか残らなかった!お前も知ってるだろ、あの事故!』
「…」
新聞やニュースを一時期騒がせた事故があった。
飛行機が迷走の末、山に落ちた。普通なら生還できる冗長性を持っていながら、防げなかった事故。
唯湖もそれを確かにおぼろげながら覚えている。だが乗客名簿は興味がなくて見なかった。
『本当なら理樹は、お前に会いに行くはずだったんだ…お前が住む街にな』
「…」
そこですべてを語られる。
理樹はあの後、生まれ育った街を離れ、遠くにある大学に進んだ。そこは日本で唯一、眠り病の研究を
行っており、学校側からの強い推薦もあり実現したものだった。
そしてあの事故の日、理樹は唯湖たちが通っている大学のある街に向かうため、飛行機に乗った。
前日、恭介は冗談半分に『落ちたら危ないから新幹線で行けよ』と電話で理樹に話した。
だが理樹は『死ぬときは新幹線でも死にそうだから、早いほうを選ぶよ。それに空が好きだし』と恭介に返している。
その結末がこれだ。
 事故原因は早い段階から修理ミスによるものだと言われていた。
現代の飛行機は大体がエンジンの一つが止まっても帰ってこれる冗長性が備わっているにも関わらず、だ。
唯湖たちが生まれる少し前に、同じような事故があり、多くの人が亡くなった。
そして、理樹の遺品として発見されたもの。それは。


 日曜日。
唯湖は恭介に会っていた。場所は、近所の公園。
彼女はあれから一睡もしていない。というより、後悔のあまり泣き腫らしていた。
もっと早く、もっと早く気付けていれば。
「やれやれ。目が真っ赤じゃないか」
「…」
恭介の精一杯のフォローも、彼女には痛い。
だから恭介は、単刀直入にある物を渡す。
「ほら、これ」
「…」
手渡されたもの。それは。
「ペア…リング」
二つの指輪。それは、ケースが僅かに黒いもので汚れてはいたが、確かに原形をとどめていた。
「人体が粉々になっちまうような事故現場で、これだけがしっかり残っていたんだとさ」
「…」
そして、その内側の刻印は。
"Riki"
"Yuiko"
有名なジュエリーブランドのものでもない、質素で、宝石すら埋め込まれていない指輪。
「…理樹君は、これをどうするつもりだったんだろうな」
「…さぁな。少なくとも、プロポーズでもする気じゃなかったのか?」
「…」
される謂れなど。

『絶対に-------』
『絶対に、迎えに行くからね!』

 そこで、全てを思い出す。
あの日、お別れの日。
私は、理樹君に告げられていたんだ。
彼の、気持ちを。
私は、拒絶するでもなく、受け入れるでもなく、それを聞き流していた。
私をベタ惚れさせたいなら、もっと立派になって、私に会いに来い、って。
すると彼は言ったんだ。
『絶対に、迎えに行くからね!今よりも強くなって、今よりも大きくなって!』
期待しないで待っているって言ったのに、キミという奴は。
キミという奴は、それを本気にして、私への愛情を、貫いていてくれたんだな。
だというのに私は、キミを、キミを、踏みにじってしまった…。


 悲しみのドアを笑い飛ばして、壊せるなら。
もしも願いが叶うなら。
「理樹君に、会えるなら」
「…」
戻れない道、距離、時間。
大切なものをどんどん失っていくけど、人は前に進むしか出来ない。
「もし、願いが叶う場所があるのなら、理樹君に謝りたい。私は、ダメな人間だった」
「…んなこたぁねぇよ。理樹は、最期までお前を思っていたんだから」
そして、同じく黒いものがたくさんついた紙を渡される。飛行機に備え付けてあった紙なのだろう。
それはすっかり汚れ、そして何度も読み返したのか、恭介の手垢がたくさん付いていた。
「どこをどう逆さ読みしても、お前のことしか書いてないんだ。悔しいぜ。最期まで会いたいと思った人は」
俺じゃなくて、来ヶ谷唯湖、お前なんだ。
涙が、こぼれた。
もう何年も、忙しくて流していなかった涙が。
揺れる機内、墜落が迫るセカイで、彼は書き続けた。最期の、想いを。


『大好きなあなたへ。
 僕は、きっと助かりそうにありません。高度も下がってるし、なんか怖い。
 でも、きっと神様は確かにそこにいて、あなたの住む街は、僕たちが会うにはふさわしくない
 場所なんだ、といいたいのかもしれません。
 だから、一足先に、天国で待ってます。いっぱい生きて、幸せになってください。
 あなたを想って生きてきた、あの長い時間が夢のように思えます。だけど、それ以上に。

 感謝と、そしてまたいつか会いたい。今度は、笑顔で。そう思えます。
 死を目前にして、みんな落ち着いています。痛いかもしれないけど、僕はわらっていきます。
 また、あいましょう。だいすきなゆいこさん』

最期のほうは必死で書いたのかひらがなだった。
そして、もう帰らない人を、今更ながら想い、涙した。
恭介がなだめても、泣き続けた。
まるで、今までのブランクを、その心の汗で埋めるように。


 部屋のサボテンは、いつまでも可愛い。
今はその上に、王冠よろしくペアリングをつけた二つのサボテン。
タケイチに理樹の指輪、エルヴィンに唯湖の指輪。
「可愛いな、お前達は」
大学と大学院を出た彼女は、今とある研究機関にいる。
地下研究所と地上を往復する毎日。そして、気付けばいつもこの部屋にいる。
卒業と同時に小毬はいつか引っ叩いた男の子と結婚した。なんだかんだでお互い和解し、そして愛し合い、
所謂出来ちゃった結婚だった。そんな小毬を微笑ましく見送った唯湖は、未だに独身だ。
「来ヶ谷さん、この資料は?」
「あぁ、そこに置いてくれ。あと、気が向いたらでいい、博士と呼んでくれ」
「はあ…」
困り顔で聞き返す研究員の青年に瞥をくれてやると、部屋から追い出す。

 今彼女は、ナルコレプシーの研究を行っている。
かつて、自分を愛してくれた男性、理樹の代わりに。
理樹と同じ症状で苦しみ、そして絶望している人々を救う。その使命感に燃えて。
「そういえば、来ヶ谷さ…博士のサボテン、何で指輪なんか被ってるんですか?」
その質問に、最初は面倒くさそうな顔をする。が、すぐに教えてやる。
「エルヴィンとタケイチか?そうだな…強いて言うならば」
「夫婦、だからだ」

 あの日と同じ春の風が、今頃外では吹いているだろう。
そして、その春の風は山桜を咲かせて、理樹の終焉(おわり)の地を慰めているのだろうか。
「また、あの日のように、騒ぎたいな」
研究員が出て行った部屋で、呟きながら含んだコーヒーは、すっかり冷めていて苦かった。
まるで、後悔した青春のように。だけど、彼女の顔に一点の迷いも曇りもないのは。
「理樹君」
無機質な蛍光灯が理樹と唯湖の指輪を照らし、そして輝くとき。
反射して天井に映った光が、なんとなく、ハートに見えた気がした。


---誰もがいつか越える坂道 その先には まるであの日の 素顔のままの僕らがいる
  遠回りでも必ず たどり着ける きっと きっと いつか----

(終わり)


あとがき
珍しくシリアスめです。しかも理樹君が…。
エルヴィンとタケイチは某有名インターネット百科事典で調べてください。
飛行機は世界で一番安全な乗り物なのに、こんなこと書いて怒られないかしらと心配です。

誰もがいつか越える坂道、って、悲しい別離とか、喪失のことだと想います。
だけど、その喪失感の中で、少なからず得られるものがあるとするならば。
その先にある、あの日の思い出。
振り返っちゃいけないなら、その先に思い描けばいいんだ、そう思わせてくれるナンバーでした。
さて、寝ようかな。時流でした。

【戻る】

※この先の外伝には相応に猟奇的な表現が含まれます。同意いただいた方のみお進みください。

外伝 Side;Riki