目の前に釣り糸が垂れ下がっていて、それに餌が付いている、って経験、あるだろうか。
僕自身なかったし、あったとして、それはそれで屈辱のような、かといって目の前にご飯(まぁ、食べ物とは限らないが)を
垂らしてくれるのだから、うまい具合餌だけ奪って逃げられれば、どれだけ楽な人生か、なんて思える。
でも、それが実際に今目の前に起こっているのだ。
「…」
「ふははははッ、欲しかろうッ!」
「遠慮はナシですヨ♪」
例の如く、この悪乗り二名の悪戯で。


コアな性癖のSS『理樹一本釣り』


 目の前に垂れ下がっている釣り針が問題なのではない。
それをここで行う、それも僕に対して行う倫理観がよく分からなくて唖然としている。
そんなどうでもいい言い訳をしてみるけど、それが事態の改善に繋がるとは到底思えない。
むしろ、自分をどうでもいい部分で追い詰めやしないか、とカクブルモノである。
強いて言うならば、天皇皇后両陛下が町をご訪問されるときに、それを知らずやけに厳戒態勢だなぁ、
これきっと僕を逮捕するために検問敷いてるんだよ!なんて勝手に疑心暗鬼になったりして、真実を知ったら
『あーどーでもいーやー』となってしまう展開に似てすらいる。
決して皇族にケンカを売るつもりはないけど、結局お2人が来たところで僕の生活が改善されるなんて思わないしネ。
当然、目の前の状況も。
「むぅ。なんで釣れないんだ」
「そーですネ」
「理樹君、ひょっとしてやはり未だに恭介氏のことを?もしくは筋肉バカか謙吾少年を…」
「はわわ、それはピンチですヨ!」
はわわは軍師だけだよ?君が使うべきではないヨ(笑)
「勝手に話の腰を折るな。第一おかしいぞ理樹君」
「いやいやいや何がさ」
「そーだそーだ!」
「だから何がっ!?」
もう半分ブチ切れ、ってか血管切れそうですよ。
プッツン・イン・ザ・スカイッ!
アルバイト先のお店の管理職も、結構プッツン寸前だったりする。あぁ、人生いろいろ。
でも正直嫌いな人だから、早くプッツンしないかな、なんて考えてみたり。
第一僕は男なのに、なんで僕のお尻触ってくるんだろ、あの人。でもセクハラで訴えられるのかなぁ。
なんて考えていると。
ぴとっ。
『ソレ』が、僕の頬に触れた。
「ひゃわっ!」
「…そこまでオーバーリアクションしないでくれ。虚しくなるじゃないか」
「だ、だだっだだだだだだっだってぇ!」
「お、焦ってる焦ってる。かーわいー」
「〜〜〜〜っ!」
なんて腹立たしい状況なんだろう。え、モヤモヤするからそろそろ教えろ、だって?
…じゃ、状況を噛み砕いて説明するから、とりま待ってろもまいら。

(NOW LOADING)

 学園を卒業した僕は、あれからぶっちゃけると志望校ってほどじゃないんだけど行ってみたいなぁ、って
思う大学があったので、そこに駒を進めた。そこはナルコレプシーの研究を日本で唯一行っていて、それはまぁ、
興味があった。僕自身が実際その病魔、まぁ僕の場合弱さなんだろうけど(身も蓋もないな)、蝕まれた経験もあるし、
僕みたいな目に遭ってしまう可哀想な人たちを救済したいじゃない?あ、全然イヤミじゃないよ?
むしろ僕がもまいらを救済してやるから、まずはうpを待てっ!ZIPでうp!って勢い?
大学には今まで住んでいた街から通えるし、後見人さんに18歳を過ぎたので、ってことで両親の遺産でもある、
昔住んでいた家をアンロックしてもらった。ん、なんかゲームっぽい言い方だなぁ。
最初かなり埃被ってるだろうなぁ、イヤだなぁ、と思いながら戻ったそこは、ちゃんと手入れも行き届いていたし、
ガスと水道を依頼すればすぐに使える範囲だったことに唖然となった。
ともあれ。卒業したらどこに住もうかな、なんて懸念はなくなり、さっそくそこから大学に通い始めて早4ヶ月。
…世間は、夏休みになっていた。
僕も、すっかり夏休み気分。というか、大学生って、まだ夏休みが欲しいから大学生になるんだろう。
そんな僕のことを、既に社会人になった子たちは軟弱者だの、スネかじりだの言ってくる。
…なんとでも言えばいいさ。かじる親がいない。遺してくれた遺産をかじることで勉学に励むのが辛いのは、僕だって恥ずかしいのだ。
と、愚痴はここまでにして、とりあえずまともな生活とは程遠いけど、まぁ楽しい毎日を過ごしていたわけで。
恭介はじめリトルバスターズの面々には、会おうと思えば会える距離。真人と謙吾が自分探しの旅に出たまま帰らないくらいだ。
そのうちイ○クで見つかるんじゃね?っていう恭介を不謹慎だよっ!と思いっきりぶん殴って赤い泡を吹かせたのはまだ新しい記憶。
しかし体育大学を志望していた謙吾まで自分探しに行ってしまったのはちょっといろいろ心配だ。やっぱりネジが吹っ飛んだんだろうか。
それはどうでもいいとして。
住むところ、食うには困らず、ビバ・ぐーたらな学生生活を謳歌してはいたが。
友達がいないんだ。
外部に友達がいっぱいいるから(少なくともいっしょに同じ大学に行ってくれた仲間はいなかった)、内部はお察し程度でいいかなぁ?
なんて思って浅い付き合いを、それも可愛い女の子限定でしていたのが運の尽き。そんな子は夏前に彼氏持ちになり、僕と一回も
交わることなく僕の元を去っていった。まぁ何もしてないのが悪いんだろうなぁ。種付けときゃ良かったよ。え、違う?
まぁ、あの小毬さんにすら彼氏が出来た(あろうことか恭介なんだけどね)んだし、結局ハーレムエンドなんて目指すほうが無粋というより、
現実社会ではそんな都合のいいエンディングはないんだろう、と不貞腐れて手に持っていた戦国ランスのノベライズをぽんと床に放り投げ
横になったのが昨日の夜の記憶。

 そして、朝、目を覚ますと。
彼女達がいたわけだ。
「むぅ。これは強敵ですネ」
こっちのヘンテコツインテールは、三枝葉留佳さん。リトルバスターズ後発組の中では、異様なハイテンションと、2人きりになったときの
しおらしさのギャップが凄く激しい。ぶっちゃけると、普段はウゼェなこのアマ!と思った人でも、付き合ってみると案外素敵な感じ、と
思えてくるタイプだろう。
現在、目下ニート中。えーうそニート?ニートが許されるのは小学生までだよねー。
「本当に付くもの付いてるんだろうか」
で、こっちの冷静なほうが来ヶ谷唯湖さん。葉留佳さんと同じ後発組だけど、身体能力は実際も性的な意味でも凄い。
何がってあのでかいおっぱい(90cmはあるとみた。少なくとも目下成長中。まだデカくなるか)をぶら下げていても、ヘタな男より速い、
むしろ見えたのが残像という身体能力はタダモノじゃあない。黒髪クールビューティーで、全女性の敵になり得る存在だ。
今完全全寮制の女子大に通っているらしいが、講義はたまにしか出ていないのか、僕が講義の日程が昼からの日でも、普通に
午前中に『よう、少年』と平然と現れ、夜までいっしょにゲームしたりする感じだ。
この間なんかバイト先のシフトを入手して、休みの日を把握しながら接近しているという事態を確認し、それこそガクブルだった。
で、そんな釣り糸垂らす彼女らの餌は。

「ふむ。一度でも抱いたことのある女のぱんつには食いつけないと言うことか。脱ぎたてのやや温もりの残るぱんつでも」
いや、そんなことはないですから、とりあえずその黒くてレースいっぱいのぱんつ、しまってくれません?
「アレ、姉御も理樹くんとエッチしたんだ〜。理樹くん、罪作りチンコだね」
恥ずかしいからそんな満面の笑顔で言わないで欲しい。
「うむ。理樹君のイチモツは、常に愛と子種をぶち撒く危険なキノコさ」
えげつない喩えはしないでください。多少凹みますから。
そう。釣り針には、ぱんつがぶら下がっているのだ。
葉留佳さんのは学園時代から愛用していた、チェックの可愛いぱんつ。
来ヶ谷さんのは、いつだったか連れて行けと言われていっしょに行った商店街の下着専門店でオーダーメイドさせた、黒いレースの、
すごいきわどいハイレグなぱんつ。確かこのとき僕のもおそろいで作ろうと言われて顔面蒼白になったまま逃げようとしたことは記憶に新しい。
それをさっきまで穿いていたというのだから、なんとなく、末恐ろしいな、この子たちは。
つまりパンツスタイルな来ヶ谷さんは分からないとしても、きわどいミニのスカートを穿いた葉留佳さんは少なくともノーパン、ということに
なるわけで。だけど、きわどいところで見せてくれない。これまた三枝クオリティなのだろうか。
「でも、一度抱いた女のぱんつは普通すぎて嗅げないってか!これだから男ってやつぁ!」
いやいやいや、全然下町な江戸っこな感じがしませんけど?
「イヤー、ほら、ここに来るまでに今日は理樹くんにどんな恥ずかしいプレイをしてもらえるんだろ、って思うと、ぱんつ大洪水だったわけですヨ?察して?」
えぇ、暑さのあまり汗でぐっしょりですね。分かります。
「うむ。私も今日はゲームしながらどんな辱めを受けるか楽しみで来たわけだ。そしたら玄関で葉留佳君と鉢合わせ。普通なら刃傷沙汰だぞ理樹君」
それはこわいねー(棒読み)
2人とは卒業してから、幾度となく、数えることすら面倒なくらい、セックスをした。
流石に避妊はしたけど、それでもあのプレイっぷりは異常だ、と犯行当時を軽く振り返る。
来ヶ谷さんは主に僕の部屋のゲームが目当てか、父の書斎のあ〜ん♪な本が目当てだ。もう中学生レベルだな。
ゲームくらいすぐ買える来ヶ谷さんのはずなのに、買わないのは。
『単に興味が無いけどやってみたいだけだ。まぁ買ったら買ったで没頭してもう会えなくなるぞ』と笑いながらあしらわれたが。
だけどそのプレイスタイルも異常だった。
……なぜか部屋に来るなり裸になるのだ。

3:愛のVIP戦士
それ、白昼夢じゃね?

5:愛のVIP戦士
以上
>>1の自作自演でしたお(^ω^)

って書き込みを以って、たった5レスでストップしたとんでも展開もあったなぁ。
ともあれ。部屋に来るなり脱ぐのだ。
ぱんつとブラを外して、適当にそこらに放り出して、フローリングにナマのまま座る。
このほうが性的興奮と闘争本能を高めて、狩りの効率が上がるんだ。とほざいてやがりましたが、見ている僕は目の毒で。
でも、あのラインは本当に芸術品と思える出来だったので、思わず抱いてしまったのが、確か3回目のとき。
避妊も忘れ、バンバン腰をふりまくりんぐ☆流石にそれは怒られたけど、今では僕はすっかり彼女の椅子。
ゲーム前、彼女は服を全部脱ぐ。そして僕もそれにならって裸になる。まるで母親の真似をする子どものように。
そしてまず僕が仰向けになると、程よく濡らしたそこを拡げ、僕のモノの上に彼女が座り、そのままインサート。
僕は一切動いてはいけない。あ、チンピクくらいは許されるけどね。
やがて彼女が言う『狩り』が最高潮に達し、ゲームの向こうのプレイヤーと連携して戦う場面になると、膣の収縮が激しくなる。
仰向けで、彼女の体のせいで画面は見えないけど、少なくとも女性プレイヤーゆえの、男性プレイヤーからのセクハラ的な質問も
あるんじゃないだろうか。まぁ、それを隠す理由も無ければ話す理由もないのだけど。
ともあれ、手にした大剣で敵を切り裂く瞬間、それをコントローラーで操作する来ヶ谷さんの膣がガンガン収縮。
しかも来ヶ谷さんがセルフピストンを開始。でも、イくときはいっしょじゃなきゃダメらしい。
先にイッたら『ちょっとAFK』と入力したあと、僕から立ち上がり、コンドームを引っぺがすと、そのまま足でグリグリ踏みつけ。
靴下は脱がない主義らしく、程よく蒸れた靴下で踏まれ、更に射精。その惨めさに泣いていると、そのままお姫様抱っこされ、ベッドへ。
狩りに成功し大きな恐竜?をやっつけた仲間達の凱歌があがる中、僕らもいっしょに涎垂らしながら果てていた。
そんな歪んだ性生活を送っていた時に、ちょうどいい具合にやってきたのが、葉留佳さんだった。
葉留佳さんは卒業後、進学も就職もせずニートになった。
就職しなかった、というのは語弊がある。実は卒業前『わたし勉強嫌いだし、就職しようかな〜?なんて』と言った後、僕にキスして。
『理樹くんに、永久就職して、いい?』と乙女チックな顔で言われたわけですよ。
もちろん、そのときは僕だって学生だし、養っていけるか不安だよ?だから僕がちゃんと卒業できたら、そのときは…。
そう言って『ヤダなー理樹くん、冗談ですヨ』と、半べそになりながら誤魔化されたのを良く覚えている。
そのせいだ、と勘ぐるのは到底筋違いなのだろうけど、実際葉留佳さんは僕に断られたあと、就職もせず進学もせず、ニートになった。
一年間よく考えたい、と両親には回答していたらしく、とりあえずバイトでもしながら考えようかと思っていた矢先、僕が一人暮らしを、
それも一軒屋(両親の遺産なんだけどね)で始めていた事に食いつく。
ニートはるちんはやっぱり実家には色々と居づらいらしく、たまに準備をしては外泊に来る。
普通は一泊二日で帰るんだけど、先々週は5泊6日してくれちゃってた。
もちろん、ヤリたい盛りの男女が一つ屋根の下なのだから、目が合うとすぐにセックスの始まりだ。
台所で、トイレで、風呂場で、寝室で、リビングで、ベランダや書斎で。
『理樹くんっ、理樹くんっ!今は答え、いらないからっ!わたしが気持ちよくて、手放したくなくなったらっ!いつでもっ、プロポーズしてっ!』
涎垂らして気持ちいい顔でヨガりながらも、嬉しいことを言ってくれる彼女の健気さに、本気でプロポーズしそうになったのは内緒。

 そんな彼女らの献身がとても嬉しくて、でも答えを出せない、どっちかに決められない自分に腹が立っていたころ。
つまり今日だ。彼女らが玄関先でばったり遭遇。
方や、薬局で買ったコンドームの入った袋を持っている来ヶ谷さん。
方や、外泊の準備をして、反対方向にある薬局で同じく買ったコンドームやら生理用品やらが入っている袋を提げた葉留佳さん。
そのまま、とりまぱんつ脱いで、それで釣れたほうが理樹君の嫁ってことにしよう。と来ヶ谷さんが提案し、今に至る。
うわぁ、ちっとも噛み砕かれてねぇ。付き合ってくれたもまいら、乙!


 「で、両方とも食いつかなかったから、一回戦はドローだな」
「うぅっ…理樹くんならわたしを選んでくれると思ったのに〜」
はるちんとは遊びだったの!?と本当に泣きそうな顔で迫られて辟易していると。
「だが、学生の身分でニート少女とお泊りセックスパーティーとはおねーさん感心しないぞ」
来ヶ谷さんが身も蓋もないことを言ってくる。まぁ、至極正論なわけですが。
「違うもん。わたし、本気で理樹くんを愛してる。だから」
で、葉留佳さんは葉留佳さんで、何か昼ドラのすげぇシリアスな場面みたく、俯いて下唇を噛みながら言葉を紡ぐ。
あぁ、これが本当にドラマならいいのになぁ。なんて。
「第一、お泊りの準備とはどういう了見だ。私だって日帰りなのに」
そこか!
まぁ、でも正直来ヶ谷さんにはいつも日帰りしていただいていた。
少なくとも葉留佳さんは僕が大学やアルバイトに行っている間、ちゃんと家事もこなしてくれたし、帰ってきたら
部屋がとても綺麗になっていて、案外家庭的な面もあるんだなぁ、と感心させられていた。
だけど来ヶ谷さんの場合、一度本気でお泊りしようとしたのだがその理由が彼女がそのゲームで所属するギルドとかいう組織で、
大規模な『祭』があるらしく、それにどうしても参加したかったらしいのだ。だけど正直そのイベントの間僕はずっと腰掛け椅子。
さすがにソレはご遠慮願いたかった。翌日講義だし、バイトもあったし。
葉留佳さんはその点、ちゃんと引き際を弁えてるのか、お互いが満足して潮時と思ったらベッドへ。
昔両親が使用していたダブルベッド、今は僕の部屋に移動させ、それを使っている。二人で横になり、ピロートーク。
今日はこんなことがあったんだよ、とか、時々『ねぇ…赤ちゃんの名前、考えておいてね?』って言われ、あれ、僕避妊したハズ…。
え、したっけ?どうだったっけ?と心配になりながら焦る顔を葉留佳さんに抱き締められる一幕もあった。
学生時代、いかに僕が葉留佳さんと表面上の付き合いしかしていなかったかが分かる。
案外彼女は母性的で、これなら明日結婚しても、経済的な問題(もっぱら、僕が学生という部分だけなんだけど)がクリア出来れば
すぐにでも夫婦として生活できちゃいそうな勢いだ。
反面、来ヶ谷さんとも表面的な付き合いしかしていなかったと気付かされる。
ホントは来ヶ谷さんのほうが母性的だと思っていたのだけど、深く付き合ってみると、思ったよりズボラで、思ったよりわがまま。
それが彼女のいいところなんだ、と思ったらそこでおしまいなんだけど。
まるで入れ替わってしまったかのような状態だけど、それが、深いところまで、お互いカラダを許してまで得たものなのだろう。
「それなら姉御も、お泊りしちゃえばいいよ」
「うむ。そうしたいところなのだが、理樹君が頑なに拒むのだ。何だ、おねーさんお邪魔虫か?」
ケラケラ笑いながらも、内心ズタズタなくらい傷ついているんだろう。このまま殺されても文句は言えないかな。
なーんてブルーになってると。
「よし。おねーさんもお泊りするぞ」
「え?」
「お泊りだ、泊まっていく」
「一時停止ならお好きに」
「…ぶち殺すぞヘタレ小僧」
「ほえぇぇっ…」
なんか極めてダークな微笑なのですが、来ヶ谷さん。
「ただ、このままここに泊まるのは味気ないな。理樹君、確か明日からバイトは2連休だったな?」
「え、あ、うん」
誤魔化そうと思ったけど、既にシフト表は彼女の手の中。
それに、僕がアルバイトしているAVコーナーのコーナー長と知り合いらしく(そのネトゲ関係で)、コーナー長には
『私の彼氏だ。だから管理する必要がある。シフト変更は彼ではなく私に伝えてくれ』とお願いしているらしい。
…その日からコーナー長の僕に対する扱いが変わった気がする。なんていうか、こう…嫉妬みたいな?
コーナー長、来ヶ谷さん狙ってたんですね。でも来ヶ谷さんはコーナー長の鞘には納まりきれない凶刃ですよ…。
そんなことは置いといて。
「まぁ、少なくともこの家で乱交☆ハメハメパーティーも悪くは無いと思うんだが、どうも味気ない。理樹君も休みだし、海に行こう」
「「…?」」
2人して首を傾げる。
「海だ海。旅館を手配しておいた。伊豆だぞ」
「…」
「わーい海〜」
事態を飲み込んで手を上げて喜ぶ葉留佳さんと、相変わらず事態が飲み込めない僕。
「何で海?」
「夏だからに決まっているだろう」
「う」
それを言われたらおしまいだ。
「でも移動手段は?」
「当然理樹君の車だ。免許は取り消しにはなってないんだろう?」
「う」
やっぱりそう来ると思った。
免許は学園卒業前に既に取得していた。車は両親の遺産として残されたクラウン。
…これも相続してみて思ったけど、維持費が意外に高いことに驚く。だけど、案外僕って運転下手じゃないし、それはそれでこんないい車に、
たかだか学生風情が乗れることが何か誇らしい。強いて言えば中学生の癖にフェラーリで登校する某金持ちのボンボンの野球少年みたいな気分?
ほら、僕世代だとみんな車は親のか軽自動車って相場が決まってるしね。
「3人乗るには十分すぎる広さだしな。カーセックスと洒落込むのもいいだろう」
「う」
それ、一度葉留佳さんとしたんだけどね。あ、これはオフレコで。
「もちろんこのお泊りパーティーもバトルだ。一番理樹君に愛されたほうが正妻ということで」
「うわー僕の都合まったく考えられてないね」
「うむ。考えるまでも無い。むしろ理樹君ならひゃっほう、こいつぁ役得だぜグヘヘヘと喜ぶと思うからな」
「むぅ」
普段僕がどんな目で見られてるかわかりました。信頼無いな、僕。
と、さっきまで喜んでいた葉留佳さんが手を上げて質問する。
「ねーねー姉御。もしも選ばれなかった子はー?」
「うむ。潔く理樹君を諦め、今後一切理樹君のそばに寄らないことを誓ってもらう」
「え」
葉留佳さん、マンガみたいに目を丸くして顔面蒼白。
だけど次の瞬間には俯いて、何かぶつぶつ呟く。
「?」
「…よ」
「葉留佳君?」
「そんなの、おかしいよ!」
ばんっ。テーブルを叩く。用意したお茶が零れる。
「姉御にだって、そんなことをする権利ないよ!わたしは、理樹くんが好き。大好き!だからそばにいるのに、それを」
「なら、負けなければいい話じゃないか。私を蹴落とせば、理樹君はキミのものだ。本当に妻として振舞っていいんだぞ?」
「妻とか恋人とか愛人とか、そんなの関係ないっ!わたしは、理樹くんが幸せならどんな形でもそばにいたいの!」
「姉御だってそうでしょ?姉御だって、理樹くんが大好きだから、一緒にいるんでしょ!?それなら」
「自分の思いだけで他人の理想を断定するな」
「っ!」
ドスの聞いた声。来ヶ谷さんが本気で怒ったときの声だ。
「私は、理樹君をいい玩具だと思っているし、恋人としても認識している。仲良しごっこをする気は毛頭ないのだよ」
「2人の障害になるのであれば潰す。仮に葉留佳君であっても、だ」
「イヤなら、全身全霊、全力をもってそれを阻止しろ。でなければ理樹君には二度と会えなくなると思え」
それだけ言って、彼女は立ち上がる。
「理樹君、まずは私の家に寄ってくれ。宿泊の準備はしてあるから、後はそれを持って行くだけだ」
「へ?」
つまり、最初からその腹積もりで僕の家に来てたんだね。やっぱりこの人、悪女だ。
そんなことを思いながら、今にも泣き出しそうな葉留佳さんの頭を僕の胸に寄せる。
「理樹、くん」
「…大丈夫。葉留佳さんは、こんな僕でも大事にしてくれた。だから」
僕としても釈然としない。
なんで、今までみたいにゆるーくまたーりとした関係じゃダメなのか、来ヶ谷さんの考えが推し量れない部分はあるけど。
「来ヶ谷さんか、葉留佳さん。どちらを選ぶとなっても、そのときは、生涯大切にすると誓うから」
「理樹くん…」
暖かい手、嬉し涙が落ちる。
「だから、その、こんなこと、僕が言うべきじゃないと思う。だけど…」
「精一杯、頑張ってね」
「…理樹くん、卑怯ですヨ。そんなこと言われたらはるちん」
精一杯、全力で理樹君にご奉仕するしかないじゃないデスカ。
半べそがたちまち笑顔になる。それを宣戦布告と捉えたのか、来ヶ谷さんも不敵な笑みを浮かべ。
「行くぞ、お二方」
そのまま、部屋を出て行った。
「あ、はるちんも」
そして葉留佳さんは足を滑らせ派手に転ぶ。
「あいたたた…」
しかも、ぱんつはさっきの釣竿につけたままだったから。
「…」
「え?あああああっ!」
可愛いアソコが丸見えです。
でもこれも案外葉留佳さんの計算なのかもしれない。舌を出して『てへへ♪さて、ぱんつぱんつ〜』とぱんつを釣り針から外し、
いそいそと穿く姿に僕は下半身の愚息を大きくしてしまうのだった。
(続く)


あとがき

全部で3話くらいでまとめようという理樹くんの受難なSSです。
物語の舞台は作中で描いたとおり。大学に進学した理樹君が、一人暮らしで織り成すストーリー。
まぁ個人的には葉留佳さんが書きたかったんですよ。なんというかこう、はるちんって、いい奥さんになりそうな気がして。
でもダダ甘ストーリーを展開するのはあれなんで、来ヶ谷の姉御を登場させてところどころでアタックしてもらいます。
勝つのは来ヶ谷さんか、それともはるちんか。2人の恋路に注目です。

さて。これを書くに当たりまして、皆さんにも協力を要請します。
勝って欲しいほうと、その理由を明記してWEB拍手をしてください。
それがストーリー展開に大きく関与します。もちろん、シチュエーションもOKです。相坂が書けるシチュなら盛り込んでいきます。

例:
【葉留佳】【健康的な太ももが眩しいから】
【来ヶ谷】【理樹をタオルで拘束して一方的な騎乗位】

皆さんがこの2人に日ごろ思っていることを送って、それを相坂がシナリオに反映させちゃおうというプロジェクトです。
ただし、以下のことは守ってください。

・葉留佳が嫌いだから、来ヶ谷が嫌いだから、とか、好き嫌いの記号で捉えた理由、逆に言えば単に好きだからという理由で
 投票しないで下さい。記号ではなく、どっちが理樹君と幸せになって欲しいか、ということを念頭においてあげてください。

・シチュエーションは相坂のテクでは盛り込めない可能性もあります。また、得票数の差の関係でハーレムエンドになったり、
 思わぬ同時破局展開になっても、相坂に石を投げないで下さい。これはマジでお願いします。


ってことで、相坂でした。
第1回の投票はUPしてから、7月20日前後にいったん開票して、次に進めます。

【次へ】

【戻る】