兄と妹。
兄は妹を守るために先に生まれてきた、って何かの漫画で言ってた気がする。
じゃ、こんな僕でも、理姫を守るためにもっと強くなれるかな?
…少なくとも、そんな自信はないけど。


第5話にしてようやくまともな展開に理姫SS『It's gonna Sunny!!!-晴れたらイイねっ♪-』


 「ねぇお兄ちゃん、どうして早退なの?」
「…理姫」
本当にこの子には罪悪感ってないと思う。
「先生に見つかりそうになったし、もう正直精神が…」
「お兄ちゃん意外にメンタル面弱いんだね…うん、わたしが守ってあげるよ」
「…」
前言撤回。罪悪感じゃなくて自覚がないだけでした。
そんな彼女をつれて女子寮へ。そして。
「じゃ、僕は男子寮だから」
「…え?」
いや、えっ、って言われてもなぁ。
袖を引っ張られたので、とりあえず振り返って諭しておく。
「あのね、僕は男で、理姫は女の子なの。だから、僕は男子寮だよ」
「そんなの関係ないよ。お兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんなんだから、わたしといっしょに暮らすの」
「いやいやいや」
そんなこと言ったら恭介だって鈴と暮らす、って方程式になっちゃうよ。
(もっとも鈴なら恭介をボコしてでも拒絶しそうだけどね)
昨日は転入当初の特例だったけど、さすがに今日は…。
「あ、もしもし、あーちゃん先輩ですか?はい、理姫です」
「って電話してるぅ!?」
しかもいつの間に番号聞いたんだよ…。怖いよこの妹…。
「はい、はい…はい、お兄ちゃんですね」
そして「代わって」と言いたげな目で携帯を突き出してくる。
その可愛らしいピンクの携帯を受け取ると、耳に当てる。
「もしも『直枝くーーーーーんっ!!!』うへぁっ!」
いきなりすぎて鼓膜が破けそうでした。謝罪と賠償を要求しますよ…?
そんなことお構いなしのあーちゃん先輩はマシンガンの如く続ける。
『ちょっと直枝くん!!!俺を女子寮に入れるってコトは、俺のカキタレになる覚悟が出来たんだな!ってどういう料簡よ!?』
「いやいやいやいやいや言ってませんから!!!」
な、何なんだろう、カキタレって。
『いい直枝くん!?あたしの目が黒いうちは絶対そんなの許さないわ!いたって普通の姉妹として女子寮で暮らしなさい!』
「いやいやいや僕が男子寮に戻るってのは最初から考慮されてないんですか?」
『しているわけないでしょ?』
即答ですか。僕沈黙。
『いい?せめて妹さんが学園に慣れるまではそばにいてあげなさい!!!トラウマスイッチ入れたら死刑だから!』
どこの宇宙人大好き団長ですか。
その後も徹底して『男子寮に戻ろうものなら直枝くんのありもしないこと作り上げてばら撒くわよ』などなど、
それはそれは本当に恐ろしいことを言われまくった挙句、理姫が慣れるまでは女子寮にいてあげることになった。

…決して『俺役得だぜヒャッホーゥ!』なんて思ってないからね!?


 「ただいま〜♪」
「…」
テンション最悪で部屋に入る僕。かたや、元気すぎる挨拶でドアを開ける理姫。
「…お兄ちゃん、ここ、お兄ちゃんの部屋でもあるんだよ?」
「出来るなら否定したいけどね…」
苦笑すると、彼女の柔らかくていい匂いの人差し指が、僕の唇に触れた。
「ムダ口不要っ♪ほら、おうちに帰ってきたときの挨拶は?」
「…」
ここで言うべきか、と悩んで、彼女の優しい双眸が僕の答えを待っていると察し。
「…た、ただいま…」
「はいっ、よく出来ました。お兄ちゃん偉い偉い♪」
頭ナデナデ。兄の威厳なんてあったものじゃない。
だけどこのほんわかした空気の中では、これも悪くないのかもしれない。
ニコニコ笑顔の理姫を見てると、何となくそんな気持ちに。
「っていきなり脱がないのっ!」
「ふぇ?」
理姫は既にスカートを半分脱いでいた。
「だって、お部屋だよ?」
「僕は兄でも男なのっ!」
「じゃあお兄ちゃんが脱衣所で着替えるか、慣れるか、どっちかすればいいよ」
「前者はアリだけど後者はナシだからねっ!?」
「ぶーぶー」
「ブーイングしてもダメっ!」
あぁ、やっぱり疲れる…。
出来るだけ見ないようにジャージを手に取ると、僕は脱衣所に向かった。
終始ゴキゲン斜めな妹の視線を背中にジリジリと食らいながら。


 しかし早退したとなると、することがない。
「ふぅ。終わりっ」
寮生の中には、洗濯機を持っている人もいるけど、基本は洗濯=寮内の洗い場においてある洗濯機を使う。
「ただ洗い場の洗濯機を使うのは考え物だね」
「どうして?」
理姫の素朴な発言に何故?と答えを待ってみると。
「だって、お兄ちゃんは一応男の子で、本来女子寮にいちゃいけない存在なんだよ?」
「なんかサラリと傷つくけどあえてスルーしておくよ」
「えぇっ!・」
無意識で言っているあたり逆に性質が悪いけどね。
「ま、まぁ、簡単に言うと、わたしとしてはお兄ちゃんのパンツを洗ってあげられるのは凄く嬉しいけど」
「理姫、誰が聞いてるか分からないんだから自重」
「うぅっ」
話の腰を折らないで!という可愛い抗議。仕方なく続きを聞く。
「でも、もし他の寮生が気付かずに洗濯機を開けて、男物の服や下着が入ってたら」
「…この事を知らない寮生はいないんじゃないかな」
「それでもだよ。案外不快感を催す女子って少なくないんだから」
特に思春期の女の子はね。と付け加える。
これまで女子校にいた女の子に言われるのは多少違う気がしないでもないけど…。
「そうだお兄ちゃん!今度秋葉原で全部揃えようよ!」
「全部って?」
「家電だよ、家電っ。あと、パソコンとかも欲しいなぁ」
「いやいやいや僕たち学生だし」
第一家電はミニ冷(ミに冷蔵庫。170L以下の2ドア程度の簡単な冷蔵庫の俗称 BY白物家電担当:相坂時流)なら
実際買う人もいるけど、大抵の場合は洗濯機は洗い場、テレビは娯楽室と相場が決まっているのだ。
もちろん、持込が禁止されている家電も存在する。
「とりあえず、冷蔵庫は視野に入れるとしても洗濯機とかは置き場所が」
「お兄ちゃんさっきの話聞いてた?」
「分かってるよっ」
だけどこればかりは…と思って思い出す。
「…でも7kg程度の洗濯機なら置けそうだよね」
なぜか知らないけど理姫に宛がわれたこの部屋には、確かに脱衣所に洗濯機用のパン(洗濯機の下に敷く白いプレート。排水溝付き BY白物ry)が
置いてある。ということは、購入して依頼をすれば、きっと配送をしてもらえるんじゃないだろうか。
「…でも先立つものが」
「え。わたしのお母さんの遺産で賄うけど?」
「いやいやいやっ!そんなことに使っちゃダメでしょ!」
遺産をなんだと思ってるんだか。僕も基本的に遣わないでいるのに。
すると彼女は逆にそれが疑問だと言う顔で聞いてくる。
「娘の幸せな生活のために使われるんだから、お母さんも喜ぶよ。それに」
「それに?」
「……学園を出て、お兄ちゃんと暮らし始めるときにも、役に立つから」
「…」
ダメだ、目が恋する乙女モードだ。
……僕は妹に恋しないよ?
「ってことで、今度家電を揃えに行こうね。わたし、家電詳しくないから」
しかも機械オンチだった!
…因みに直後、理姫が操作ミスで洗濯機を一個壊して、寮長が血相変えて飛び込んできたことを付け加えておく。
…家電買わないほうが身のためみたいな気がしないでもないような。


 ともあれ、引越し作業は順調に進んだ。
まず、理姫の荷物。いらないものは寮の倉庫に入れて、残ったものは全部タンスやクローゼットへ。
ダンボール6個のうち2個が前の学校で使っていた教科書などだったので、それらは破棄。
残り4個の中の衣服を格納する作業も、夕方までに完了した。
そして僕の荷物についても、鈴にお願いして持ってきてもらった。
理由はやっぱり、真人に会いにくいのがある。だって、朝の事もあるし、何より。
「絶対引き止められるしね」
顔を涙と鼻水でぐしゅぐしゅにしてしがみ付いてくる真人の哀れさを考えれば、鈴に行ってもらって、
ハイキック一発で終わるほうが真人にとって一番後腐れがないんじゃないか、って思える。
……幼なじみにさらりと酷いことを言ってる気がするのは、この際無視しよう。
そして理姫は今シャワーを浴びている。
僕はというと。
「へぇ…ネットも出来るんだ」
改めて女子寮のマニュアルを読んでいた。
先ほどあーちゃん先輩が部屋に来て、マニュアルを渡していったのだ。

『女子寮マニュアル?』
『そう。女子寮の鉄の掟が記されているわ。住人になる以上は、守ってもらうわよ』
『…僕もですか?』
『あら、即決裁判で死刑になってもいいなら、読まなくてもいいわよ』
『…』

 何気に怖かったのでとりあえず貰っておいたが、女子寮は意外に優遇されていることに驚く。
特に改装を受けたばかりの旧館の奥のほうの棟…僕と理姫の部屋あたりは、部屋の大きさが普通の寮生よりも
広めに取られているらしい。本来は4人くらいで使うのを前提に作られているらしいけど、無駄なベッドなんかを
全部排除している分、丸テーブルや椅子などの調度品が置けるのだろう。
「…」
それだとしたら、前ここに住んでいた寮生は一人寂しい夜を…。
「…まぁいいか」
とりあえずモデムは寮長を通じて学生生協で貸し出しされるらしい。
それならとりあえず無線ルーターでも買っておけばいいかな。それで無線を使ってネットをしよう。
「後は洗濯機と、テレビもあったら便利かなぁ」
理姫のお母さんが残した遺産の記録を見たが、確かにハンパなものじゃなかった。
どれだけかというと、65型のテレビをこの寮の全ての部屋に設置しても、まだ1/4程度というくらい。
部屋の数は、察してください。
「…でも、人のお金とはいえ、理姫のこれからの生活にも必要だからね」
だから、無駄遣いはしないでおこう。とりあえず、計画は僕が練るから、財布利用の最終判断は理姫に任せる。
「テレビはこの広さなら40型くらい置いても遜色ないと思うけどなぁ…」
だけどどちらかと言うと僕はテレビなんてあまり見ないほうだし、理姫もたまに使うくらいなら、という意見だった。
「じゃテレビは32型くらいでいいかな。このクラスなら型落ちで10万以下とかも普通にあるし」
普段使わないなら尚更低予算で抑えよう。
「あとはレコーダーもあったほうがいいけど、それは理姫に任せるとして、パソコンかな…」
「お兄ちゃん熱心だね」
「そりゃそうだよってぇぇぇぇっ!!!?」
「?」
可愛らしく小首を傾げていますが。
上はノーブラでキャミソールだけ。下は可愛い白のパンツ一枚。
「ふーっ。牛乳美味しい」
「こらこらこらっ!ちゃんと下も着てっ!」
「えーっ。暑いし、兄妹なんだから別にいいよ〜」
「僕が構うのっ!」
「ちぇ〜」
やれやれ、と言いながらスパッツを着用する妹。
…スパッツだと余計下着のラインがエロくって何言ってるんだよ僕っ!

 とりあえず配置する家電の話し合いに終始する。
「テレビとパソコンは分からないからお任せするね。あと、録画はしないからレコーダーはいらないよ」
「そうだね。あと、洗濯機と、冷蔵庫は1ドアの小さい奴にしようか」
「ん〜。今はそれでいいけど、夏にアイスとかも冷やしたいし、やっぱり2ドアにしようよ」
「まぁ、どうせ長く使うしね」
そんな感じで話を煮詰めていき、やがて夕食を終えた僕たちはそれぞれの宿題を終わらせる。
「幸い午前中の国語以外宿題はなかったらしいよ」
来ヶ谷さん情報だから多分確かだ。
「じゃ、さっさと終わらせてお兄ちゃんと遊ぶね」
「いやいやいや早く寝なさい」
「え〜」
頬を膨らましながらも丸テーブルに向かい合ってノートと教科書を開く。
…真人とはダンボールの机で勉強してたなぁ。懐かしいな。
こっちの方が些か現代的だけど。
「えーと、なになに…『うってかわって』を使って短文ね…よしっ」
「お、お兄ちゃん…」
「え?」
僕が書いた答えは…『彼は、薬をうってかわってしまった』。
「お兄ちゃんって、たまにバカになるよね」
「放っといてっ」
ちょっとムッとしたけど、確かにこれは違う気がする。消しゴムでゴシゴシ消していると。
コンコン。ノックの音。
『ひめちゃ〜ん、いる〜?』
「小毬さん?」
「あ、小毬ちゃ〜ん、いるよ〜」
すると、おじゃましま〜す、という声の後に、小毬さんとクドが入ってくる。
「わふーっ。リキもいるです〜」
「理樹くんもひめちゃんとお勉強?」
まぁ。不本意ながらいっしょにお勉強ではあるかな。
「まぁね。で、二人は?」
「う、うん。それがねー」
どうやら、宿題に数学があったらしい。
「来ヶ谷さん数学出ないから当然か…」
それは予想外、と教科書を取り出し、そして内容を確認する。
「うげぇ…」
しかも範囲は、僕が一番苦手な3元連立方程式。代入が面倒臭いんだよなぁ。
「で、小毬さんとクドも分からなくて来たわけだ」
「そうなの〜。ねぇひめちゃんっ、助けてっ!」
あ、僕じゃなくて理姫か。
って、それはそうか。僕は本来この時間ここにはいない人間なんだし。
「でもリキ、もう寮に帰らないと怒られてしまいます」
「あ、それは問題ないよ」
と、そこで理姫。
…ってこのまま喋らせるのは危険すぎる!口を覆う準備ヨシっ!
「あ、知ってるよ〜。理樹君、しばらくここに住むんだよね〜?」
って小毬さんにすらバレてるし!
もう隠し通す理由がないくらい、有名なんだろう。
「…わふ〜っ」
顔を真っ赤にしたクドがぶっ倒れて、それからしばらく宿題中断。


 「う〜ん、やっぱり分からないよ〜」
小毬さんは数学が案外苦手なほうらしい。だけど来ヶ谷さんに習うとロクなことにならないから
(時流君、実に心外だぞ!)
(うるさいっ。ちょっと黙っててっ!)
基本的には笹瀬川さんといっしょに頑張っているらしい。
だけど今日はその笹瀬川さんがソフト部の夜間練習に行っていて、聞ける相手がいなかった。
そこで聖應学年トップの理姫に白羽の矢が立ったわけだ。
「ほら、ここはこうするの……わたしが付いてるから、いっしょに頑張ろうねっ?」
横から赤ペンで訂正を入れた上で、具体的に、しかも何度でも教えてあげる理姫。
…案外学校の先生とか向いてるかもね。
「わふ…もう、ダメです〜」
「ほら、くーちゃんも…うん、基礎はさっきより出来てきたから、あともう一歩、頑張ろうっ?」
「わ、わふ〜っ!リヒメが天使に見えるです〜」
ちなみにクドは『リキの妹さんだから名前のほうが呼びやすいですっ』と言って理姫を呼び捨てにしている。
そんな彼女らも、さっきから理姫のエンジェリックスマイルにやられっぱなしだ。
…あの包容力満点の小毬さんが妹キャラになってしまってるあたり、理姫のほうが包容力は上なのだろう。
「うんうん♪正解だよっ。小毬ちゃんは理姫大学卒業っ♪」
「やったぁ〜」
ヘトヘトになりながらも本当に嬉しそうだ。
…僕も頑張ろう。
「あ、お兄ちゃん。お兄ちゃんも採点してあげるね」
「あ、僕はいいよ…」
「え〜」
そこは謹んで遠慮しておこう。
その後も国語と数学の宿題に加え、学園での他愛ない話に盛り上がり、10時の消灯時間となった。


 電気を消した後も、理姫が持ってきたベッドサイド用の電気スタンドを使って小説を読む理姫。
「あ、お兄ちゃん、明るくて眠れない?」
そう言って照度を落とそうとする理姫を制する。
「いいよ。僕はここの居候みたいなものだし、別に明るくは感じないしね」
むしろ、綺麗なくらいだ。
70年代のモダンな感じの丸い電気スタンド。実用性を重視しながらも、アメリカっぽいフォルム。
こういう調度品はこだわりがあるのだろうか、これ以外の小物もデザイン重視の物ばかりだった。
「むぅ。わたしじゃなくてライトに見とれてるなんて〜」
小説に栞を挟んで『もうやめやめっ』と言いながらスタンドの電源を落とす。残念。
だけど刹那には僕に抱きつき。
「お兄ちゃんの心臓、凄いゆっくり鳴ってる…」
「理姫もね」
別段、抱きつかれること自体に嫌悪感はないし、昨日みたいな戸惑いもない。
それは今日一日だけで理姫の意外な側面が見れたこと。そしてなにより。
「そういえば、何の小説読んでたの?」
「ん。これなんだけどね。大好きなマンガの小説版なの。面白そうだから買っちゃった」
「ふぅん」
理姫からそれを預かり、パラパラめくると。
一箇所だけ、丁寧に蛍光ペンで線が引かれている台詞があった。


『兄貴ってのがどうして一番最初に生まれてくるか知ってるか…?』
『後から生まれてくる、弟や妹を守るためだ!』

 「わたしね、この言葉が大好き」
僕を見ながら、理姫が微笑む。
「わたしね、小さい頃から病気がちで、友達も少なかった」
「お母さんが死んじゃう前にお兄ちゃんがいるって教えてくれるまで、あぁ、わたしは世界に独りぼっちなんだなぁって思ってた」
「…」
そう。独りだったのだ。まるで僕みたいに。
理姫の話では独特の感性ゆえに小学生の頃はクラスでも浮いていた。また、父親がいないことは子どもの感性から言えば
イジメのいい理由になる。それは、寂しい時間だったらしい。
「だからね、中学生の頃出逢ったこのマンガの主人公が大好きになったの。きっとわたしのお兄ちゃんも、こうだって信じて」
「…」
僕だって、兄貴なんだ。
それも、こんなに可愛くて、こんなに儚い女の子の。
気が付けば僕は無意識に、理姫の腰に手を回し、抱き締めていた。
「お、兄ちゃん…?」
「…この主人公になれるか分からないよ?」
「…うん。期待してないよ。お兄ちゃんは今のお兄ちゃんのままがいい」
「…それはそれで複雑だけど」
もう、理姫は独りじゃないよ。
初めて、ゼロ距離で見つめる妹の双眸。それに映る僕。
「…」
差し出される唇に、僕は。
「むぐぅ」
とりあえず小説を押し付けておいた。
「酷いよお兄ちゃんっ!」
「いいのっ」
「よくないっ!」
とりあえずその後、キスしたいだのなんだので時間が流れ、眠りに落ちたのは12時過ぎだった。
(つづく)


 あとがき。

次回は秋葉原に家電を買いに行くお話になりそうです。
ついに相坂がSSに登場…!?
乞うご期待っ!っていってもあたしの家電知識は大したことないわよ←某日本一の電機店勤務が言う台詞?
配置換えでパソコンコーナーになったしね。どういうことなの…。
ともあれ今回は理姫ちゃんを真面目に描いてみました。珍しく。
…えっちぃのがいいなら、また路線変更するけど、これから真面目に書いて逝きますorz

BGMは愛内里菜の『I can't stop my love for you』。
2番の『大嫌いなんてウソでも言わないけど 大好きなんてウソなんかじゃ言わないからね♪』って、
まさしく理姫ちゃんって感じがしました。うん。終わり。相坂でした。


【次へ】

【戻る】